PhantomU

□第四章 Love
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場所は変わり、研究所。
ここは赤の城から遠く離れ、簡単に見つか
らない様にと、結界を何十にも施してある。
そう簡単に、ここは分からないし入れない。
そんな場所に、私はいた。
「雪!!!!」
自分自身の名前。
大好きな親友の沙里奈は、私が捕まる時に
今まで聞いたことの無いぐらい大きな声で
叫んでくれた。
花村雪。
私は、この自分の名前が嫌いだけど。
今だけ少し、雪で良かったと思える。
沙里奈、大好き。
早く、会いたい。
「沙里奈・・・・」
残念な事に、私の足には足枷が。
手は自由だけど、どうやっても取れはしなか
った。傷はついた。だけど、取れない。
もう、いよいよ意識もボンヤリとしてきた。
口には何かの気体を送るマスクが装着されて
いる。この気体はおそらく、薬品。
この薬品のせいで、私の体から力は徐々に
抜けつつある。
今では、立てもしないぐらい。
「沙里奈・・・・・」
早く。助けて。
早くしないと、私はきっと死んでしまうわ。
「・・・・・」
また一つ薬品に奪われた。
声が、出なくなった。
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