長編小説

□ライバル出現!?C
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「矢野、ここでよかったんだよな?」
地図を片手に運転席から翔太が声をかける。


「えっーと、旅館『山吹』だから…うん、ここでいいはず。」




5人が到着した先は、規模こそそれほど大きくはないが、洗練された趣と手入れが行き届いた庭園とが格の高さを感じさせる純和風の旅館だった。




「…やのちん、ついこの間決めたとこなのによくこんないいとこ取れたね…しかも高そうだし……
ま…まさかいわく付きとかじゃないよね…?」

急な計画にも関わらず予想以上に良い旅館だったため、千鶴が不安がって聞いた。


「ないない!実はうちの母がここの女将と知り合いでね。偶然キャンセルが出たがらって入れてくれたの。」


「なーんだ〜。」

ほっとしたように千鶴が言う。


「そーなんだぁ、すごく雰囲気のいいとこだね!
あやねちゃんありがとう!!」


「いいえ!ただ……それでなんだけど、…実はキャンセルが出たのが1部屋だけで、5人で1部屋なのよね。
で、まぁこのメンバーならいいかと思って。」



「ちょっ…5人1部屋!!?いいかと思ってって!?」

翔太が反応した。




「なに?あんたが危ないとでも言うの?(笑)」

「そ、そう言う訳じゃないけど!」

「じゃあ問題ないじゃない、ね?」


「あたしは全然いいよ!むしろ楽しそうじゃん!」

「…俺も別に。」

「私も楽しそうだと思う。」



「……わかったよ!全く。普通女の方が気にするもんだろ〜。」




車を駐車場に止め、5人は旅館へと向かった。

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