00 短編

□未来を共に…
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「刹那、おかえり」
地上に偵察の為に降りていた刹那がトレミーに帰艦した
「ただいま、フェルト」
刹那は昔と今とでは本当に変わったなって思う
根本的な意志の強さっていうところは変わっていないけど
簡単に言えば周りと関わるようになった
昔なら“おかえり”って言って“ただいま”なんて返事返ってこなかったもんね
無言か、いいときでコクリと頷くか“ああ”って返事を返すだけ
「??どうした?」
笑っている私に不思議そうに尋ねてきた
「ううん。刹那が変わったなって。昔なら“ただいま”なんて言わなかったでしょ?」
「……悪かったな」
バツが悪そうに苦笑いを浮かべる
昔なら感情を顔に出すこともなかったよね
「ロックオンのお陰だね」
「……あいつが煩く言うからだ」
悪態はつくけどその顔は懐かしそうに
嬉しそうに笑っている
ロックオン・ストラトス
現在のロックオン、ライル・ディランディの兄
ニール・ディランディ
私と刹那の初恋の相手
そして刹那の唯一の恋人



「あいつは俺が挨拶ができていないと永遠と2時間説教してきた」
「その時クリスやリヒティーが面白がって騒いでたよね」
「ああ、暫くからかわれた」



「そういえば俺が熱を出した時に気づいたのもあいつだけだったな」
「刹那普段と変わらずにケロッとしてたのにね。39度もあって後でモレノさんに怒られてたよね」
「あれは…本当に自覚なかったんだ。普段より少しぼーとするとしか」



「スメラギ・李・ノリエガが酒盛りで騒いでた時も俺とフェルトに絡ませないように頑張ってたな」
「そうそう。ラッセと一緒にスメラギさんの相手しながら。で、結局次の日二日酔いでダウンしてたよね」
「ああ。バカだよな」



「昔イアンがわざわざGNブレンドを届けてくれた時あった。その時にイアンに感謝くらいしろって言われたことがあったんだが、その当時の俺は感謝はしていたがそれをどう伝えればいいかわからなかった。その時あいつなりに感謝しているんだって。そうニールがイアンに言ってくれた」
「刹那のことよくわかってたんだね」
「そうだな。それがニールなんだ」


「……そういえば、初めてマイスターとして紹介されたときティエリアとアレルヤは俺が幼すぎるって言っていたがあいつだけは年は関係ないって言ってくれた。なのに人一倍子供扱いをする」
「刹那、嬉しそうだね」
「そうか?」
「うん。笑ってるよ」
「そう、だな……ニールとの思い出は俺にとって一番大事な思い出だからかもしれないな」
「そうだね」
「そうだ。フェルトに渡したい物があったんだ」
刹那はいつも地上に降りると私達に気をきかせてお土産を買ってきてくれる
なんかそういうところ、ロックオンに似てきてるんだよね
「これだ」
「……これ」
刹那が見せてくれたのはカプセルに入った一輪の花
私が刹那に渡したものと同じ花だ
私が渡したものは戦いの最中に無くしてしまったって刹那に謝られたんだよね
花より私にとっては刹那が無事でいてくれた方が嬉しいのに
「これを見てくれ」
今度は端末を取り出して画像を見せてくれた
その地域一面にこの花が咲いている
「俺が無くしてしまったあの花が地上にたどり着いたんだろう」
「……すごいね。あの一輪だけの花がこんなに増えたんだ」
「ああ。この花をフェルトにもらってほしい」
「ありがとう。とっても嬉しい」
カプセルを受け取って胸の中でぎゅっと抱きしめた
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