復活 短編

□La mia cara persona
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「な…く…つな…ん…」
「ん……」
ある日の夜中、微かな物音で頭が覚醒する
耳元で名前を呼ばれてるらしくということを眠い頭で理解したのも随分と時間がたった後で……
「……ラン、ボ?トイレくらい自分で行けるようになれよ……」
目を擦りながら起き上がると
「クフフ…寝ぼけていらっしゃいますね」
「えっ……」
その声……
「むくっ「シッ…アルコバレーノが起きてしまいますよ」
口元を手で覆われる
その相手はやっぱり骸で
「少し散歩に行きましょうか?」
骸に促され外に出た
夜ってこともあるけど雲に月が隠れて今日は一段と薄暗い
そんな中骸に手を引かれて歩く俺
「体力も少し戻りましてね。クロームに頼んで変わってもらいました。あなたにお会いしたくて」
「なっ!!」
何でコイツはこんな恥ずかしいことサラッと言うんだよ!!
「クフフ。どうしました?顔赤いですよ」
わかっているくせにわざわざ聞いてくるし
「さ、寒いんだよ」
「嘘はダメですよ、綱吉くん。でも、確かに君は薄着で寒そうですね」
すみませんって謝って骸が自分の上着を俺に掛けてくれた
「いいよ。骸も寒いだろ」
「僕は大丈夫ですよ」
「ダメだってば!!骸は大丈夫でもクロームが風邪引くかもしれないし」
「困りましたね……ではベンチに座りましょうか?」
「ちょっ、骸!!」
骸がベンチに座ってその隣に座ろうとした俺だったけど
骸が俺の腰に腕を回して引き寄せられ気づいたときには骸の膝の上にいた
「恥ずかしいだろ!!」
「誰も来ませんよ。それより寒くないですか?」
「う、うん。大丈夫だよ」
骸の体温が温かい
「綱吉くん、お聞きしたいことがあります」
「何?」
「ボンゴレ十代目に就くと正式に発表されたそうですね。何故です?何故マフィアなんかに……」
「俺はね、嫌いだよ。マフィアなんて」
「僕だって嫌いですよ。なのに、何故」
「ボンゴレって権力持ってるんだって。俺がボスになったら骸を解放するように言うつもり」
骸が驚いた顔を俺に向けた
「そんなことのためだけに、なんてバカな決断を……」
「そんなことなんて言うな。俺にとって、重要なことなんだ」
「綱吉くん……」
「それ以外で骸を自由にしてあげる方法はないんだって。俺は今だってずっと骸と一緒にいたいって思ってる。俺にとっては重大なことだから……」
本当ならあんな暗くて冷たい場所今すぐ出してあげたい
でも今の俺には何もできない
「僕だってずっとあなたの側にいたい」
ぎゅっと抱き締められてるから顔は見れないけど
骸の声は辛そうで
「骸?」
「ありがとうございます。僕なんかの為に……」
「骸は俺の大事な人だから……一緒にいたいって思うのは当然だろ?」
他人から見ればボスになろうと決めた理由としては不純かもしれない
でも俺は骸がいればいいんだ
「さぁ、もう遅いですよ。そろそろ休まなくては」
「ヤ、ヤダ!!久しぶりに骸に会えたのに」
話したいことだってまだあるのに
「僕はずっとあなたを見守っていますよ」
「そんな気休めな言葉が欲しいんじゃなくて」
「綱吉くん」
骸が俺の前に手をかざすと急に眠くなった
骸、何かしたんだな
「む、くろ……」
「すみません、綱吉くん。愛してますよ」
おでこにキスされた
「俺も、むく…のこと…」



“Buona notte
 La mia cara persona”



大事な人の声と共に
俺は眠りに落ちた
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