00 短編

□9話 拭えぬ過去
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「やっと泣けたんだな、刹那は」
「ティエリア」
泣きつかれて眠った刹那を抱きしめてあやしているといつの間にか来たのかティエリアが壁に寄りかかっていた
「君をニール・ディランディと重ねて混乱したようだな」
「そのようだな……兄さんは本当ににコイツに愛されてるんだな」
……死しても尚こいつを縛っている
「刹那を泣かせてくれて感謝する」
その言われ方は微妙だけど……
「これで少しでもこいつにとって軽くなってくれたらいいんだけどな」
「ああ……」
ティエリアは俺達の横に立って刹那の涙を拭いながら髪を梳いていた
「あなたももう休め」
「ああ……刹那は俺が運んでいくか?」
「バカにしないで下さい。刹那くらい軽い身体、俺だって運べます」
「そりゃあ悪かったな」
名残惜しかったがティエリアに刹那を預けた

せめて夢だけでもこの子が兄さんに会えますように……
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