00 短編

□Merry Christmas
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結局、強制的に部屋に連れ戻された
「……いい加減一人部屋にしてほしいものだな」
スメラギ・李・ノリエガの配慮でマイスター同士の仲を深めるためとかで俺はロックオンと相部屋だ
アレルヤ・ハプティズムとティエリア・アーデも先日までは相部屋だったが今では個々の部屋を持っている
「まだ刹那は危なくて一人部屋にはさせれないんだよ。お前、俺が見とかないと飯も食わないし睡眠もきちんと取らないだろ」
……図星なため反論ができない
「マイスターたるもの体調管理もできねーといけないからな。ティエリアにどやされるぜ」
「……それは、嫌だ」
「ほい。ミルクでいいだろ?」
ロックオンはホットミルクを俺に渡してくれた
よく寝る前に温めてくれる
寝る前に飲むとよく眠れると煎れてくれるものだが、確かによく眠れる
「熱いから気をつけろよ」
「ん」
おいしい……
「飲んだか?」
「ああ」
「“ああ”じゃないだろ?“ごちそうさま”は?」
「……ごちそうさま、でした」
挨拶をキチンとしろとロックオンは教えてくれた
今まで、そんなこと言う相手なんかいなかったから必要なかったのに
「えらいえらい」
ちゃんと挨拶をするとロックオンは頭を撫でてくれる
「よーし、ベッドに入れ」
「ん……」
ベッドに入るとロックオンは布団を掛け直してくれた
「……ロックオンは、寝ないのか?」
「寝るぜー?」
そう言いながらも頭を撫で続けていて自分のベッドに向かおうとしない
「刹那の髪は本当癖っ毛だな」
「ん……ロックオンに頭撫でられるの、気持ちいい」
安心するんだ、この大きくて温かな手が……
今まで感じたことがない優しい手
「嬉しいこと言ってくれるねー誘ってんのか?」
「すー…すー」
「寝たのか。さっきのは寝言だったんかな」
本心だ
でも眠いし、恥ずかしいしそんなこと言ってやらない
「Merry Christmas…いい夢を、刹那」
ロックオンの囁きが聞こえ俺の唇に何かが触れた気がした

温かい、何かが……



―翌日
「刹那、朝だぜ。起きろ」
「……ん。うるさぃ……まだ、眠い」
いつものようにロックオンが起こしてくれる
「いいから起きろって」
「ふぁ……」
無理矢理ロックオンに起こされて眠い目を擦る
「あーこらこら。そんな擦ると目が傷つくって」
「???」
自分のベッドの横に何かが置かれていた
「なんだ、これ」
「昨日言っただろ。クリスマスにはサンタが来るって」
「サンタ……」
綺麗な包みで包装されているプレゼント
「俺、に?」
「そうだ。今まで届けられなかった分の14個あるんじゃないか?」
「ロックオンのは?」
「俺はもう子供じゃないんでね。全部刹那の分だ」
嬉しい
たくさんの罪を重ねてきた俺なのに
そんな俺がこんなにもらっていいんだろうか……
「それと、これは俺からだ」
「え……」
ロックオンが綺麗にラッピングされている包みを差し出した
こんなにもらって罰は当たらないだろうか
「俺、何も用意してない」
「子供はそんなこと気にするなって」
戸惑いながら受け取るとロックオンは笑いながら頭を撫でてくれた
「……ありが、とう」
「おっ!!俺の教育が身についてきてるな。どういたしまして」
もしかして……
「昨日出かけたのって、これを買いに行ってきてくれたのか?」
「まぁこっちのプレゼントは前から用意してたんだけどなー」
「え?」
「まぁそんなもんだ」
ロックオンの声が聞き取れず聞き返すが、なんか誤魔化されたような気がする
「夜はケーキ食べような」
「ああ……ロックオン」
「ん?」
「メリー、クリスマス?」
「えっ」
「クリスマスには、そう言うんだろ?昨夜言ってなかったか?」
「な、刹那!?起きてたのか!?」
何をそんなに焦る
「眠る直前に聴こえてきたんだ。それ以外覚えてない」
「そ、そうか。覚えてないならいい」
「ああ、でも唇になにか当たった気がした」
「なっ!?」
「あれは何だったかわかるか?」
「し、知らない!!俺は全く知らない!!」
「???そうか」
一体なんだったんだろう?
俺が寝ぼけていただけか?
でも、とても温かくて
満ち足りるようなそんな気持ちになったんだ



のちに、俺はその気持ちを“幸せ”と呼ぶことを知る



〜回想終了〜
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