00 短編

□拍手文
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「ニール、話がある」
「ん?どうした、刹那」
トレミーの食堂で朝食をとっていた俺に真剣な顔つきで話かけてくる刹那
といっても何を言いたいのかは大体予想がつく

今日は4月1日
俗に言うエイプリルフールだ
俺は去年、この日を知らなかった刹那を騙したんだがネタばらしをすると「来年は絶対ニールを騙してやる!!」なんて、珍しく年相応の反応を見せた刹那
そして1年経った今年、今まさに刹那は俺を騙す気でいるんだろう
一体、何て言って俺を騙すつもりなんだ?
ベタに「別れる」とか「大嫌い」とかか?
……嘘だとわかってても流石にそれはヘコむな
まぁ、仕返しとして肯定してやろう
焦った刹那も可愛いんだろうな
「ニール、俺……」
「ん?」
「……こどもができた」
「ああ、そうか。俺もお前のことがきr…………は?」
「だから、こどもができたと言って「だ、誰の子だ!?」
「あんたとの子に決まっているだろ。昨晩だって明け方までヤってたくせに」
「そ、そうだな」
刹那と俺の子か〜
刹那に似て可愛いんだろうな〜
……って、おい。
今日はエイプリルフールだろ
「……せっちゃん、つくんならもう少し違う嘘をつきましょ」
「なんだ。騙されなかったのか。にやけていたので騙されたと思ったのに」
あーあー拗ねちゃって
「かわいーなーww」
刹那を腕の中に抱きしめる
「ベタな嘘でくるかと思いきやいきなり突拍子ないこと言われたんでびっくりしたぞ」
「ベタな嘘?」
「んー例えば“嫌い”とか“別れる”とか」
「……そんなことは、嘘でも言いたくない」
「……刹那」
「単なる俺のエゴだが……俺は、嘘でもニールにそう言われたら悲しい。言うのも苦しい。だから、嫌だ」
「刹那」
刹那に労るようにキスをおとす
おでこに

目元に

頬に

首筋に

唇に

何度も、何度も



「刹那、愛してる」
「ん……俺も、ニール愛してる」
耳元で囁くと珍しく刹那からも言葉が返ってきて
俺の首に腕を回し更にキスを強請る
「これは嘘じゃねーからな?」
「当たり前だ」
「部屋に戻るか?」
「……バカ、まだ朝だ」
「いいじゃん。どうせ今日はオフなんだし」
「まだ俺は朝食も食べていない」
「んじゃ、食べたらいいんだ?」
「……勝手にしろ」
悪いが今日は引く気ないぜ
あんなに可愛いことしてくれて
歯止めがきくわけねーだろ
本当ならここで襲いたいぐらいだが刹那のことに関しては小姑並みにうるさいティエリアに見つかったらただじゃすまされないだろうからな
「ロックオン・ストラトス!!万死に値するっ!!」
「げっ、ティエリア」
鬼の面したティエリアが怒鳴りつけてきた
俺まだ何もしてねーんだけど
「ティエリア、おはよう」
刹那は礼儀正しくティエリアに挨拶をした
昔の刹那からは考えられないよな
……俺今日挨拶されてねーな
「ああ、おはよう刹那。それより、身体は大丈夫か!?」
「???別に問題ないが?」
首をちょこんと傾げて
可愛いなー
「せーつーなー!!!」
「アレルヤ?」
「アレルヤまで、こんな朝っぱらからどうした」
「ロ、ロロロックオン!!あなたって人は!!」
「は?」
『刹那、今すぐおろすんだ!!』
「は?」
降ろす?
「おいおい、何の話しをしてるんだ?」
「あなたが父親なんて認められません!!」
「子供が可哀想だと思わないんですか!?こんな変態ショタコンが父親でよー!!」
「いつの間にハレルヤに?……って、父親?」
何言ってんだ、こいつら
ん?“降ろす”ってもしかして……“堕ろす”のことか!?
「待て、お前ら。その話しをどこで」
『………………』
無言で指差す2人の先を見れば
フェルトの腕に抱かれたオレンジの俺の相棒が……
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