00 短編

□未来を共に…
2ページ/5ページ

「この端末の画像ももらってもいいかな?」
「ああ、フェルトの端末にデータを送っておく」
刹那が優しく笑ってくれた
刹那の笑顔、すごく好きだな
私の初恋はニール・ディランディだった
初恋は実らないと言うけど私の初恋は実らず刹那の初恋は実った
正直、ショックだった
幼いながらもロックオンのこと大好きだったから
でもね、ロックオンって誰にでも優しいの
そんな誰にでも優しいロックオンの特別は刹那だった
今ならその気持ちわかるんだ
私も刹那に惹かれているから
「どうかしたか?」
「う、ううん。何でもない」
ボーと刹那を見ていたから怪訝に思われちゃったかな
「……人も、この花のように共存していければいいのだが……」
「刹那……」
「争いが二度と起きない世界に。もう二度と……」
刹那の手をそっと握った
「私達は見届けなきゃ」
「ああ……ニールが望んだ世界になるように」
「うん、そうだね」
刹那は今でもロックオンのことを大事に思っている
「ちょっとロックオンがうらやましいな」
「フェルト?」
つい口に出してしまうと止まらなかった
「刹那にずっと、一途に思われてるんだもん」
「……ニールのことは好きだ。愛してる」
わかっていたはずなのに
胸が痛い
「……でも俺は、他に気になる奴ができてしまった」
「えっ……」
「これは……ニールに対しての裏切りだ。そして、その人に対しても……ニールのことが今でも大好きなのに、俺はその人のことも……」
刹那が苦しそうに顔を歪める
刹那に他に気になる人ができた
それはそれでショックだけど、こんなに悩んでるんだね
刹那は自分の中に感情を溜めちゃうから
誰かが外に出してあげなきゃいけない
私じゃロックオンの変わりなんてできないけど
「それは裏切りじゃないと思う……ロックオンも許してくれるんじゃないかな?ロックオンは刹那に幸せになってほしいって思ってると思う。その刹那の想い人さんも、刹那のロックオンに対する気持ちわかってくれるんじゃないかな?」
私の意見で少しでも刹那の心が軽くなってくれたらいいなって思うの
「フェルト……ありがとう」
刹那が笑ってくれた
それで満足しちゃう私って単純なのかな
「どういたしまして」
……聞いちゃおうかな
「ねぇ、刹那の気になる人って……私が知ってる人?」
「ああ」
教えてくれるってことかな?
「……ティエリア?」
ヴェーダの一部となってしまってもイノベイターとなった刹那とは意志の疎通ができるし何よりニールがいなくなってから刹那を支えていたのはティエリアだった
「違う」
「ティエリアじゃないの?じゃあアレルヤ?」
でもアレルヤにはマリーさんいるし
「アレルヤじゃない」
「じゃあ……ライル?」
刹那に迫ってたよね
「あいつでもない」
「……もしかして、女性?マリナさん?」
「前にも言っただろ?彼女とはそんな関係じゃないって」
「それじゃあスメラギさん?」
「違う」
「もしかしてミレイナ?」
「イアンに殺される。そうじゃなくて、1人忘れていないか?」
「忘れてる?マリーさん?」
でもマリーさんはアレルヤ…
「フェルト」
「なーに?」
ふと刹那に名前を呼ばれた
「だからフェルト」
「何?」
返事してるのに
不思議に思って刹那を見ると優しく笑っていて……
「俺はフェルトが好きだ」
「……え?」
「俺は余り言葉を知らない。だから思ったことを言葉にすることしかできない」
「…………」
「フェルトに、これから俺と一緒に生きていってほしいと思っている」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ