オブシディアン

□甘いもの
1ページ/1ページ

用事があったから化学準備室まで来たのであって、最初からそのつもりだったのではなかったと言ったとしても、それは言い訳にしか聞こえないだろう。

ふいに香ったのは甘い匂い。

「おまえ、何か食ってたのか?」
「ええ?なんで分かったのー?」
「菓子みてぇな甘い匂いがする」
「さっきチョコレート食べたんだよー」
黒たん先生ってば本当にワンコだよねぇ、と苦笑したファイの唇を、黒鋼の舌がなめる。
「っ、……っ!?」
驚くファイを黒鋼は抱き寄せ、耳を軽くかじってから首に唇を滑らせた。
「するの?」
「したくなった」
黒鋼の手が明確な意思を持ってファイの細腰を撫でると、ファイの手が黒鋼の背中におずおずと触れた。

きっかけはあの甘い匂い。
苦手なはずの甘い匂いが、ファイの匂いのようだと思った途端に、黒鋼の全身を欲が走り抜けた。
ファイの服を中途半端に脱がせ、綺麗な白い肌を黒鋼の唇が丁寧に愛撫していく。
ふるふると零れるファイの吐息は堪らなく愛らしい。

美味しくて美味しくてついつい食べてしまう甘いもの。

ファイが好む甘いものが菓子ならば、黒鋼が好む甘いものはファイなのだろう。
甘いものに夢中になりすぎて時間を忘れてしまわぬよう。
そう心に留め置いて、黒鋼はファイの肌を柔らかく味わった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ