オブシディアン
□息震えて声沈め
1ページ/1ページ
乱れた布団の上で腰を揺らせば息も震える。
額、頬、手、腹、足、
重なる身体。
月は夜の空をゆるりゆるりと滑り落ちる。
その髪の毛の色は月の光の色に似ている。
そう思った。
「 」
息と共に吐き出される声は、意味を持つ『言葉』なのか、意味を持たぬ『音』なのか。
分からない。
今の黒鋼には分からない。
ぽたり、伝い流れた汗が一滴、白い肌を濡らしたのが見えた。
汚しちまった…ぼんやりと思いながら、掌でその汗を拭う。
「 」
…透き通る…
「 」
空気に沈んで、
溶けてしまいそうな声だった。
ああ、笑うな。
分からねぇんだ。
俺は…、
想い深まる、
自分は脆いと思い知る。
それでも、もう、
逃がす気なんか無い。