ゴミ箱

□パートナーちぇんじ!?
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賑わいを見せる飲み屋の、暖簾で仕切られたある一角に二人の女性が座り、黙々と注文したビールを飲んでいた。

傍目からは見えないが、二人とも何処か怒っている様子だ。

先ほどからどんどん注文ボタンを押してビールを追加し、やけ酒の如く煽り、一気に飲み干していく。


そして、すでに何杯目になるか判らないジョッキをテーブルの上に叩き付けるようにして置くと、徐ろに金髪の女性が言葉を放った。



「ったく!!あのへたれ駄目駄目でこっぱちハツカネズミ野郎!!」


誰に言うともなく怒鳴り散らし、テーブルの上に並んだつまみをヒョイヒョイ口に運び入れ、凄まじい早さでそれらを消費していく。


「ほ―――んと、…あの馬鹿ったれ!すーぐ何かってーと拗ねるは喚くは落ち込むは……ったく、いい加減にしろってーの!!」


向かい側に座っていた栗色の髪の女性が、これまた怒りを露わにして残っているビールを一気に喉へと流し込むと、ジョッキを両手でギリギリ握りしめる。
その手は徐々に力が入っていき、握り潰しかねない勢いだ。


……事実、ジョッキが『ミシリッ☆』と言ったのを金髪の女性の耳は聞き逃さなかった……。


「なぁ、聞いてくれよ!あいつ、おかしいんだ!!私が一寸でも他の奴らと話しているだけで不機嫌になって!それに、私は只嬉しくて抱きついているだけなのにあからさまに嫌な顔をするし……」

「そうそう、私の時もそうだったよ!私の場合、たーだ他の奴のマシンを整備していただけなのに不機嫌面になったり、前なんか何が気にくわなかったのか私に当たり散らして、挙げ句の果てに変な噂真に受けて……冗談も程々にしろ!!」

持っていたジョッキをテーブルに思い切り叩き付けると、すぐさま呼び出しボタンを押し、店員を呼びつける。



「「お兄さん、生2つピッチャーで追加!!」」



呼び出された店員が思わず身震いしてしまうほどの勢いで声を荒げて追加注文をする。

触らぬ神に祟りなしとは正にこの事だろう。


「だいたいねぇ、私はチーフメカニックなんだ。その私がマシンを整備するのは当たり前だろ!?なのに、なんだよあの態度!!……あ―――っ腹立つ―――――――っ」

「……私なんか、事が終わって抱き締められて寝ているにもかかわらず、他の女の名前を呼ばれたんだぞ……」


仄暗い炎を宿したカガリの瞳を見て、ミキは目を瞠り、思わず口に含んでいたビールを噴きそうになる。…が、何とか堪えて飲み込むと顔を引き攣らせた。


「それは……また、何とも……」


乾いた笑いを浮かべるが、冗談では無い事はカガリの表情からも分かる。

ふと、数日前に起こった出来事がミキの脳裏を過ぎった。




『う〜〜〜んっっう〜〜〜んっっやめ……』(魘されている様子)

『ちょっっ直輝!直輝ってばっ』

『うわぁぁぁぁぁぁっっっ』

『うわっっっっ…びっくりしたなぁ、もうυ』

『あ……れ……?ミキ……??…今日子さん……じゃない、よな?』




ピシッッッッッ




「分かる……分かるよ、カガリの気持ちが……ふっふふふ………」




そして、示し合わせた様に二人して大きく息を吸い、大声を張り上げた。



「アスランの……」「新条直輝の……」




「「大バカヤロ―――――――っ」」



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