ながなが生地
□妖精の尻尾
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「ルーシィ…」
「えっ…」
呼ばれたことに驚いてナツを凝視すると、当人は起きた気配などなく未だぐっすり夢の中。
さっきの、何。
寝言…?
顔に熱が集まってくる。
だって、幸せそうなのだ。
あのナツが、夢を見て。
よく魘されているのに。
魘されて、寂しそうで。
それでもなんともない風を装っていつものナツを演じて。
そんなナツが、寝ているのに笑ってる。
その中に自分が出ているということは、期待してもいいの…?
「ルーシィ…燃やして肉にしても色気ねえなー…」
「どんな夢見てんのよー!!」
「ふごっ!?」
案の定、見事なまでのクラッシャーぶり。
空振り三振。
手近にあった青い影を投げつけると、見事クリーンヒット。
ナツの顔の上で目を回しているハッピーを認識してはっと我に返った。
血の気が引いて顔色がハッピーとお揃いになる。
「きゃー!?ハッピー大丈夫!?」
「だいじょぶ、じゃないです…あい…」
「はん゛ふごごはぐぐんぐご…」
「何言ってるかわかんないからまず起き上がりなさいよ」
さっぱり理解できない、と自分が投げたハッピーが原因であるのに、ルーシィは呆れ顔でナツの訴えをばっさり切り捨てる。
ハッピーが乗っているため、うまく言葉が発せないらしい。
くぐもった声しか聞こえない。
ハッピーはくすぐったいのかむず痒いのか、笑う寸前の表情で口元を抑えくふふと声を零している。
…退く気ないのかしら…。
じっと観察していると、そろそろナツの顔が蒼白になってきた。
ハッピーも真っ青な蒼白っぷりだ。
そこまでぽかんと意識を飛ばしていたルーシィは慌ててハッピーをナツの上から引き離した。
「ぶはぁっ…はぁっ……はぁーー」
「ちょっと、大丈夫?」
「これが、大丈夫に見えるなら、お前の目はありんこだな…」
「どういう意味!?」
「節穴です、あい」
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オチはどこかに落ちていきました。
暑くなってきたので涼みたいです。
[2011.06/21]