ながなが生地
□サッカー革命
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その腕を掴んで引き止めると、神童は何かに弾かれたように振り返ってオレを見た。
その目は大きく見開かれていて、神童の心情を如実に伝える。
「……どうしたんだ?剣城」
「……」
口を開きかけるも、言いたい言葉が見つからなくてまた噤む。
――言えるわけがない。
アンタが消えそうに見えただなんて。
らしくない、と、笑われるに決まっている。
そんな馬鹿なことあるわけない、と。
腕を掴む手に込める力が、自然と強くなる。
黙り込んで目線が下がったままの俺を見て、神童が何を思案していたかなど、知る由もなく。
「剣城……オレを見ろ。オレの目を見るんだ」
「……っ」
挟み込まれた両頬をぐいっと引かれ、距離が一気に近くなる。
覗きこむように間近に現れた目に宿る光の強さに、知れず息をのむ。
「オレは、ここにいる」
「…!」
「今、剣城の目の前に、ちゃんといるだろう?」
こうやって触れているのだから。
ふわっと柔らかく微笑んだ神童を見て、泣きそうになった。
…耐えろ、俺。
泣くのはこの人の専売特許だ。
ぐっと奥歯を噛みしめて、頬を包む神童の両の手に自分の手を重ねた。
包み込まれた両頬と神童の甲に重ね触れ合った部分は、温かかった。
「あ、さっき何か失礼なこと考えただろう」
「!(…エスパーかよ。それも時間差だと…)」
「おい、何だその驚きに呆れを混ぜてすごく残念なものを見るような目は」
「……いえ、別に」
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口調勉強中。
アニメで、運ばれるキャプテン見て顔歪めた剣城のその表情に京拓的な何かがたぎりました。
でもこれ書いたのは前日です。どうでもいいですね、はい。
[2012.02/15]