こげこげ生地
□オパール:終わり:
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走っている。ただ、闇雲に何かを求めて…
走っても走っても辿り着くことが出来ない…
どんなに頑張って手を伸ばしても届かない…
どうして?
また、独りで行ってしまうの…?
・・・おいていかないで・・・
お願いだから!!
「っっっ!!!」
すごい勢いでギンタは目を開き、飛び起きた。
心臓はバクバクとうるさいくらい速く鳴り、肩が上下するほど、息は上がっている。
何とか乱れた呼吸を整え辺りを見渡すと、目の前一面に湖が広がっていて。
手の先に固い感触を感じて視線を下へずらすと、銀色の鉄の塊が視界に飛び込んできた。
「バッボ…?」
名を呼んでみたが鉄の塊――バッボは寝ているらしく、いびきだけが返って来た。
先程と変わりない景色。
どうやら自分はいつの間にか眠ってしまったらしい。
ということは、やはり‥‥
「また、あの夢かよ・・・」
ギンタは額を手で押さえ、悲痛そうに顔を歪ませながら呟いた。
背中を冷たい何かが走る。
…頭の中に蘇る光景…。
走っている者、そして、その先にいる者は……
「ギンタっ!」
聞こえた。
自分の名を呼ぶ、声が。
今、一番聞きたかった声、が。
バッと声がした方へ首を捻ると、そこには自分の予想通りの人物が立っていた。
今までずっと想いを巡らせていた、一番会いたくて逢いたくなかった人。
「アルヴィス…」