こげこげ生地

□心の叫び
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___デジメンタル___



オレ達の紋章はそう言った形で大輔達に受け継がれていった………





―――新たな戦いの幕開け―――





もうオレには、それを見ていることしか出来ないのかよ……………







*心の叫び*





久しぶり、かもしれない。

こうして並んで歩くのは。


沈む夕日を背に、ヤマトは太一と共に帰路についていた。

いつもはお互いの事情で帰りの時間が重なることが無いに等しい二人。

今日は後輩達についてデジタル・ワールドへと足を運び、戻ってきたときにたまたま元(太一の)担任の教師につかまってしまって。。。

無情にも他の子供達は各々の用事で先に帰ってしまい‥‥‥


太一と、一人、腕を捕まれて逃げ遅れたヤマトが長ったらしい説教――基、昔話の餌食になったのである。





まあ、そんなこんなで今の現状に戻るとしよう。





ヤマトは久しく感じなかった懐かしい感覚に喜びや嬉しさが込み上げ、しかし、どこかいたたまれない気まずい空気に 思わずため息が漏れた。


なんなのだろう、、、

先刻よりずっと太一を取り巻く、この暗雲は。



暗雲と言うよりは手っ取り早く答えるが吉。

要するに、太一の様子がおかしいのである。





大輔やタケル達は今日もまた一つ、ダークタワーを破壊し、イービル・リングに操られたデジモン達を解放した。

始めの頃と比べると格段に成長した後輩達に、安堵の笑みが零れるくらい。

慣れたものだと思う。


世話焼きで後輩思いの太一の事。

その成長を喜び、頭を撫で激励でも飛ばすものだと思っていたのだが‥‥



一瞬垣間見えた、暗く 歪めた表情。



けれどそれは本当に一瞬のことで、一つ瞬きするといつもの調子で大輔達とじゃれあっていた。

それからも普段と変わりない様子だったのでその事はすっかり頭から消えていた。

しかし、二人きりになった途端、太一は俯き加減で無言になってしまったのである。



―――また、何かを内に溜め込んでいるんじゃないのだろうか………――


ヤマトの脳裏に過ぎった言葉。

……当たらずといえども遠からず、だった。





「‥‥なあ、ヤマト‥‥」


普段の太一からは想像も出来ないくらい、低く沈んだ声。

先の内容を告げるのが躊躇されるように途中で口は閉ざされた。

けれどもそれだけを聞いて、ヤマトは過ぎった言葉が事実だと確信した。


「太一……お前、何悩んでいるんだ?」

「!っ…べ、別に、、何も悩んでなんて無いけど?」

「嘘付け。俺に黙っておけるなんて思うなよ?何年付き合いがあると思ってるんだ」



…なんて、実際は三年程だけどな。

と、ヤマトは軽く笑みを浮かべながら言った。



三年前のデジタル・ワールドでの冒険の中で友情を育んだ二人。

様々な危機に面し、意見も真っ向から衝突し、、、本音をぶつけあいながら沢山喧嘩もして………自分を偽らずに語りあえたからこそ、時間なんて関係のない、深い繋がりを持った親友となった。



まあ、今では親友以上の関係であったりもするけれど…………




 
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