こげこげ生地

□こたえ
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「キミのこと、好きだよ、誰よりも」



囁いて、微笑んだ。

間近でそれを直視した大輔は思わず顔を赤らめてしまい、顔を逸らそうとして両頬に手を添えられているため動かせないことを思い出す。


途端に、今まで何とも思わなかった現状に羞恥がわいた。

両頬を優しく包み込まれ、額を合わせて見つめ合っている――そんな状態に。



タケルは、大輔が目尻を赤くし居心地が悪そうに目を泳がせていることに気付き、苦笑する。

何だかんだで色恋沙汰に慣れていないこの純情な少年はやっと自分の置かれている立場を自覚したらしい。




「…大輔くんは?」

「っ、へ?」

「大輔くんは僕のこと、好き?」


小首を傾げて聞く。きっと、ヒカリちゃん辺りに見られでもしたら「タチが悪い」と言われるだろう。

自分でも自覚しているから。




「お、オレは、タケルのこと…!」

「うん」

「…た、タケルのこと…」



顔を真っ赤にして。

真っ直ぐにタケルを見つめるその目は、潤んでいて。


言葉を紡ごうとする口は開閉を繰り返すけれど音にならず、吐息となって零れている。

今にも紡がれんとするその言葉を、出口を求めて溢れんとするその想いを聞きたいと思う。


思うけれど――震えるその唇を見つめていて、直接受け止めたいという欲求が生まれて。

タケルは碧の瞳を瞼の裏に隠すと、欲求に流されるがまま、大輔に口付けた。



一瞬強張って、肩を押されて。


でも、それはすぐに宙に離れると、僅かな隙間を埋めるように首へと回された。




きっとそれが、僕が大輔くんに求めた――何よりの答え。





〜end〜



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