メロン生地

□あいつのせい
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窓の外に見えたのは、何かを受け取って頬を赤く染めた幼馴染の満面の笑顔だった。





*あいつのせい*





面白くねぇ。


窓枠に肘をついて眼下の様子を覗き見して一番に頭に浮かんだのがそれだった。

口はへの字に曲がり、眉間には皺が寄って。


「おかしな間抜け面だな」

「誰が間抜け面だコラ」

「おかしな変顔だな」

「おかしな連呼すんな。つかおかしいと変って意味一緒じゃねえか!!」


怒りの表情のままに前に向き直り、人を変呼ばわりしやがる悪友――シルバーにくってかかった。

あしらうように鼻で笑われ、怒りのボルテージがあがる。

ただでさえイライラしていたのに、この仕打ち。

いらつきの増長を知ってか知らずか、シルバーは視線を外して窓を見た。


いや、正確には先程までゴールドが見ていた外の光景を。


「…クリスか」

「クリスがなんだよ。へっ、ガチガチ堅物学級委員のくせに隅におけねーでやんの。相手の気が知れねぇぜ」


頭の後ろで手を組んで、自分には何の関係もありませんという風を装っているゴールドだが、その顔にはありありと不機嫌だと書いてあった。

原因など、考えるまでもなく一目瞭然である。


「嫉妬か」

「っ!?な、」


どうやら、本人には自覚がなかったらしい。

目を見開いてシルバーを凝視し、まるで鯉のように口の開閉を繰り返す。

しばらくその様子をじっと見つめてみる。

と、無言の圧力に耐えきれなくなったのか視線を明後日な方向に逸らし、詰まらせた息を大きく吐き出した。


「…そんなんじゃねぇよ…」


項垂れ、机で組みおいた腕を枕に突っ伏し、ゴールドは苦々しく呟いた。







そんなんじゃ、ない。


何故自分が嫉妬などというものをしなくてはならないのだろう。



全部、全部あいつのせいだ。

あいつが悪いんだ。



腹の虫の居所が悪いのも、シルバーに呆れた顔されんのも、喉元がぎゅっと絞られているみてぇに気持ち悪ぃのも、全部。





オレの意識を占領しやがるあいつのせいだ。








〜END〜



⇒あとがき
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