メロン生地

□思い出の中の……
1ページ/2ページ

幼い頃に出逢った、名前も知らない男の子。



外を知らなかった無知な私に"自由"を教えてくれた、唯一の………





彼について覚えているのは、爆発したような前髪。それに口が悪いけれど不器用な優しさを持ち合わせていた事と、、、







光に満ちあふれる、強さを秘めた黄金の瞳・・・−−−














*:思い出の中の……:*








「今日はここまでに致しましょう」


そう告げるなり、自分に勉学を強制していた女性は道具を片付け、さっさと部屋から出ていった。

生まれてから十四年。

この対応にさすがに慣れてしまったとは言え、意思に反しため息は零れてしまう。



部屋の息苦しさを紛らわすため、クリスは閉め切られていた窓を開け放った。

爽快な風がサワサワと吹き込んでくる。


クリスはこの瞬間が好きだった。


この大きな箱の中で“外”を感じられる、たった一つの時間だから。



髪を風に揺らしながら、クリスは数年前の記憶の中へと思いを馳せた------。















 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ