メロン生地

□花火
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「おーい、クリス!今からちょっと時間空けてオレに貸せ」



そう言って私の家にやってきたあなた。




……何でここにいるんですか。










*花火*









「ちょっと!どこまで行く気なの?ゴールド!!」

「もうちょいだって!!」


そう言い続けて早一時間。

とっくに日が沈んでいる時間帯、いきなり家にやってきたゴールドは、用件も言わず急に私を部屋から連れ出した。

いつもどこかでフラフラと放浪していてこちらからは連絡もまともに取れないくせに、こういう時だけいつも急に現れ私を振り回す。


迷惑極まりないんだけど…なぜか断れない。




「ここだ。着いたぜ、クリス!」

「ここは……」



夜の闇にまぎれてかすかに聞こえる波の音。


風にのせて香るのは独特の潮の香り。


目の前に広がっているのはどこまでも続く青黒い混沌の水の原。



「海…?」



状況がはっきりと理解出来ず、思わずポツリと呟いてしまう。

ゴールドの方へ視線を送れば、二ッとした笑顔が返ってきた。


「クリス。花火しよーぜ!」


そう言って取り出したのは(出所不明)、丸い筒のようなものや平べったい袋に入っているたくさんの花火だった。

クリスはきょとんと一呼吸置いた後、確認するように繰り返す。


「花火…?どうしてまた花火なんか…」

「今夏だろ?夏らしいと言ったら花火しかねえだろ!」

「そうじゃなくて!」


クリスは少し声を張り上げた後、困ったような表情をする。


「どうして私を誘ったの?花火するだけなら別に一人でもいいじゃない」

「一人でやってもつまんねーじゃん」

「それなら私じゃなくっても…」

「クリスが良かったんだよ!!」


…え……?


今、ゴールドは何て言った…?


固まっているクリスをよそに、ゴールドは意地悪そうな笑みを浮かべた。


「なぁ〜に考えてんだよ!バーカ」

「なっ!別に変な事考えてたわけじゃ…!!」

「オレ別にそこまで言ってねえけど?」

「!!!」


クリスは顔を真っ赤にさせてそっぽを向いた。


…口じゃ絶対この男には勝てない。


いや、私はどんなことでも、一生ゴールドには勝てないんだろうな……


クリスは口元に笑みを浮かべて振り返った。



「ゴールド!花火やるんでしょう?ほら、水ちゃんと用意して!火はあるの?」

「お、おう!バクたろう、火!頼むな!!」


袋を開けて筒を出し、その先端にバクたろうは小さく火をつけた。





海辺の夜空に咲く炎の花。




その光に照らされて映った、明るい笑みを浮かべているゴールドの横顔。





きっと、これから先にもずっと心に残る、私の大切な思い出……------










    〜end…?〜
 



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