メロン生地
□夏のおくりもの
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八月七日
まだ朝早い時間に、マサラタウンの道をとある一軒の家に向かって歩いている、緑の瞳を持った少年と長い髪に青の瞳を持った少女がいた。
目的地らしい家の前で足を止める二人。
その表札に書かれている文字は「RED」------
少女はどこか妖しげな笑みを口元に浮かべながら呼び鈴に手を伸ばした。
*夏のおくりもの*
「悪いわねー、気持ちよく寝ているところを起こしちゃって」
「そう思うんだったらこんなに朝早くから来るなよな」
悪びれた様子も無くニコリと笑いながら、ブルーは目の前に置かれたお茶を一口飲んだ。
それとは対照的にレッドはふてくされた表情で文句を返す。
誰でも思う、最もな正論だろう。
「それに、ブルーは解かるけど、何でグリーンまで?」
「……」
「ワタシが誘ったのよ。ね?グリーンv」
「「……」」
無言だがグリーンの半ば諦めたような表情を見てレッドは悟った。
強制的に連れて来られたんだな……
レッドは同情の視線をグリーンに送る事しか出来なかったと言う。
その後、三人は他愛も無い会話を続けた。
ルビーとサファイアが今度こっちの地方を訪れに来るとか、先月のゴールドの誕生日にクリスとゴールドが夜遅くに場所は海辺、しかも二人っきりでデート(花火)していたとか……
ふとブルーがそう言えば、と話し出した。
「レッド。あんたちゃんとイエローと連絡くらい取ってるんでしょうね?」
「え…?イエローとは最近連絡取ってないけど?忙しかったし…」
「何ですって!?」
ダンッ!!
勢い良く机を叩いて立ち上がるブルー。
瞳を鋭くさせ睨むその剣幕に、思わずレッドは後退った。
「イエローと連絡取ってないってどうゆうことよ!!」
「いや、だから忙しくて…」
「言い訳無用!!それが何よ!ちょっとの暇くらいあるでしょ!?」
「落ち着け、ブルー。レッドが死ぬぞ」
レッドの首をつかみ上下に揺らしていたブルーをグリーンが制止した。
ブルーは納得がいかないらしく、怒りを露にレッドを指差した。
「だってこのバカ!連絡すら取ってないって言うのよ?!どうせ会っていもいないんだろうし…これじゃイエローが可哀相だわ!!」
「確かにそうだが、こいつにそんな事を求めるだけ無駄だろう。それに、何も言わずに放って置いた俺達にも責任はある」
「う〜…」
そう言われては言葉の返しようが無い。
確かに自分達はレッドの鈍さ、こういった気の利かなさを良く知っている。
でも会う事は出来なくても連絡くらいはするだろうと、放って置いたのがいけなかった。
レッドを甘く見すぎてはいけない……
「…そうだ!」
ブルーは悪戯を思いついた子供のようにニヤリと笑うと、それをすぐに心の奥に引っ込めていつもの表情でレッドに話し掛けた。
「レッド。知ってる?イエローの事なんだけど…」
「イエローがどうかしたのか?」
「実はね……最近、イエローってすごくモテるのよ」
「はぁ??どうゆう意味だよ?」
頭にハテナマークを浮かべながらレッドが聞き返した。
事情を知っているグリーンは「またか…」とため息をつく。
「ほら!イエローって結構可愛いじゃない。守ってあげたい妹タイプって感じ。それに、町に出ると必ず知らない人に声をかけられるんですって」
「…マジで?」
「大マジ。誰かさんが全然連絡をくれないもんだから、さすがのイエローも他の人に心が傾いちゃうかもね?」
ちらりとレッドの方に視線を向けながら、ブルーは少し芝居がかかった口調で話す。
レッドは動揺が隠し切れないらしく、ブルーのそれに気付かず、焦りが滲み出ている。
「えっ!?う、嘘だろ?そんな事…」(汗)
「さあね。気になるんだったらイエローに直接聞けば?じゃ、ワタシ達は帰るわね。行きましょ、グリーン」
「ちょっ!ブルー!!?」
レッドの言葉に耳を貸さず、ブルーはグリーンの腕を引いて部屋から出て行った。
しかし、ドアの前まで来て振り返り、
「そうそう、レッド。明日は何の日か分かってるんでしょうね?だから今日は早く寝て明日の朝早く起きなさい。それでイエローに会いに行くのよ!いいわね!」
と、言うだけ言って去っていった。
一方レッドは…
「……明日…何かあったっけ?それに何でイエロー??」
ブルーの言葉の意味を理解してはいなかった……(呆)