ながなが生地
□導きの声
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助けて……
私達を助けて……
炎をその身に宿す、勇気を持った子供達よ……
もうすぐ、扉が開くから………
*導きの声*
ここはデジタルワールドのとある薄暗い森の中。
いつものように先頭を歩いていた拓也がいきなりピタッと止まった。
拓也の後ろを歩いていた泉は当然拓也にぶつかって。
泉が怒らないわけもなく、
「ちょっと拓也!急に止まらないでよ、危ないじゃない!!」
眉を釣り上げ拓也に向かって文句を言う。
いつもならここで拓也も言葉を返すのだが、今日は何も言わず、ただ何かを探すような目で前をじっと見つめていた。
そんな様子を不思議に思い、後方にいた輝二は近づいて拓也に声をかける。
「拓也、どうかしたのか?」
「!えっ、べ、別に何でもねぇよ。それより、今日はこの辺で休もうぜ」
拓也はハッと皆を見、何も無かったかのように笑みを浮かべてまた歩き始めた。
やっと休める と、泉達はその意見に賛成した。
ただ一人、輝二は拓也の作り笑いに気づいたが、今は何を言っても本当の事を答えないだろうと思い、眉をひそめ軽くため息をついた。