こげこげ生地
□オパール:始まり:
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一方ギンタは、バッボと共に城から少し離れた場所にある湖のほとりに来ていた。
誰にも言わずに来た為、ちょっとマズイかなぁ〜などとも思ってみたのだが、今、誰とも会いたくなくて・・・・・・
でも万が一の時の為、バッボを一緒に連れて来たのだ。
木にもたれかかるようにして草の上に座る。
そしてやっと安心したかのように張りつめていた気を緩めて一息ついた。
――最近、気が付けばボーッと思いに耽っていて皆にいらぬ心配をかけてしまっている自分がある。
考える事はいつも、自分に対して手厳しい所がある冷静沈着な彼の事。
なぜか彼の行動の一つ一つが気になって意識してしまう。
いつの間にか目で彼の姿を追ってしまう。さがしてしまう。
そんな事を思う自分が訳わからなくて、必死で理由を探そうと普段あまり使わない頭をフル回転させて、しかし余計にこんがらがってしまって。
自分はここまでバカだったのかと、なんだか無性に情けなくなってきた。
そんなギンタの様子に気が付いて、バッボが声をかける。
「なんじゃいギンタ、そのアホ面は。もっとシャキっとせんか!シャキっと!!」
これがバッボなりの励ましなのであろう。
ギンタの目の高さほどまでピョンピョンと跳びながら、ニヤリと言う効果音が似合う笑みで言葉を発した。
まぁ、それは挑発的だがバッボもギンタが心配なのである。
「うん・・・・・・」
そんなバッボの励ましが聞こえていないと言うような「心ここにあらず」といった表情で、ギンタは湖のほうを虚気に見ながら生返事。
――今のギンタには何を言っても自分の声は届かない。
そう悟ってバッボは目を伏せ、黙り込んでしまった。