メロン生地
□思い出の中の……
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−−−……
『ねぇ?どーしてわたしは、お外にでちゃいけないの…?』
『外は危険に満ち溢れているのです。恐いものも沢山存在しているのですよ?…クリス様にもしもの事が無いよう、この屋敷の中でお守りする為でございます』
−−嘘だ。そんな事……
そう思っても幼い私は無力そのもので…
言いつけを破ることはどうしても出来なかった。
けれど、幼い好奇心からの関心は外の世界へと向けられる−…。
…見てみたい…このお屋敷より外の世界……
そして、チャンスが来た。
世話係と称した目付役としていつも私を見張っている人に、別の仕事が舞い込んで……
−−私の行動を見ている人は、誰もいない−−
部屋をそっと抜け出して、ここで働いている人達に見つからぬよう隠れながら、屋敷の外へ−−庭へ足を踏み入れた。
当時の私は庭へすら降りる事を許されなくて、いつも部屋から眺めているだけだったから、、実際に触れられる草花に感動した。
でも、ここに居ればすぐ誰かに見つかってしまう−−。
せっかく外に出られたのに、もう部屋へと連れ戻されるのはイヤだ。
名残惜しくもその場を離れ、屋敷を囲う塀へ近づいた。
ここよりもっと外へ…
塀伝いに歩き、出られるような場所を探して…………見つけた。
大きな木の裏にひっそりと隠された、壁に開いている子供一人がやっと通れそうなくらいの、小さな穴を。
「お外に出られる…!」
この先には何があるんだろう−−
外の世界は、どんな所だろう−−
歓喜と期待で胸を躍らせながら、私はその抜け穴を潜った。。
未知なる場所へ足を踏み出して−−…
…この時はまだ、先にある出逢いに気づくことなんて考えもしていなかったの…。