メロン生地
□一日の終わりに
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来るわけ無いって、解かってるのになぁ……
イエローはそう考えながら歩いていた足を止めた。
その拍子に長い黄色の髪がふわりと揺れる。
もうばれてしまっているのだから隠す必要はない、と知っているのだけれど、やはり持ってきてしまう麦藁帽子。
これは“少年のイエロー”として戦い、あの人を捜した証だから、自分は皆の仲間だと言う印だから、なんとなくこれがあったほうが落ち着くのだ。
家にいて、ふと空を見上げたら会いたくなった。
赤を身に纏った、太陽のような笑顔をするあの人に……----
それで思いたったのがトキワの森。
あの人と逢わせてくれたこの森なら、会えるかもしれない…
そんな期待を抱いて家を飛び出したまではいいものの、すぐさまその思いは打ち消した。
「忙しい人だもん。そんな暇なんてないよね…」
自分なんかがあの人の側にいていいはず無い。
ボクなんかが……------
視界がどんどん沈んでゆく…
もうどうでもいいや…
麦藁帽子が風に吹かれて空に舞い上がる。
そんなことはお構いなしに、イエローは襲って来る眠気に抗えず、樹に体を預け眠り込んでしまった。