メロン生地
□一掬の涙
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静寂に包まれた部屋。
何をすることもなく、ただただ時間は過ぎてゆくだけで……
時を刻む、チッチッ…と云う時計の針音だけが耳に聞こえてきた。
その中で。
青の瞳に長い髪の少女 ブルーと、緑の瞳にツンツン尖った髪の少年 グリーンが抱き合っていた。
−−正確に言えば、グリーンが後ろからブルーを抱きすくめている。といったほうが正しいだろう。
何故こんなことになったのか。
ブルーにも良く分からない。
いつものようにグリーン宅を訪れてみたのだけれど誰も出てこなくて、、、
ドアの鍵は掛かっていなかったので勝手にお邪魔させてもらい、
部屋を覗いてみても姿が見あたらなかった為、出かけているのかと思っていた。
けれど………
グリーンの部屋に入っった時、急に後ろから誰かに引き寄せられて‥‥‥
気づけばグリーンの腕の中に収まっていました;;(ブルー談
「…何かあったの?グリーン??」
「……………」
もう一度問いかけてみても、やはり返事は返ってこなくて。
−−彼らしくない−−
意味もなく行動を起こすことを 普段の冷静な彼ならしないはずなのに………
不安に駆られ、ブルーがグリーンの表情を伺おうとすれば、抱き締められる腕にさらに力がこもった。
「……行くな……」
「…え…?」
グリーンはブルーの肩口に顔を埋め、、、
「…もうどこにも行くな‥‥っ行かないでくれ…………俺の前から…消えるなっ!!」
囁かれた言葉は ひどく自分を追いつめているように切羽詰まっていて……------
「‥泣いているの?グリーン‥‥」
…やっぱり、問いは返ってはこなくて。
ブルーは身体にまわされたグリーンの腕にそっと手を添える。
その表情は穏やかで、、しかしどこか哀愁すら漂わす、柔らかな笑みが浮かんでいた。
「…アタシはどこにも行かないわ………もう、消えたりしないから…………グリーン…アタシにはあなただけだもの………」
青の瞳から光る滴が頬を伝い、一筋の跡を残した。
それは、思わず流れた……−−−
−−−…一滴の涙…−−−
〜end〜
→あとがき