ながなが生地

□復活
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「10代目」


獄寺君は、俺のことを好きだと思う。

慕ってくれているのはわかる。
そうじゃなくて、恋愛感情のほう。

何でそう思うのかわからないけど、絶対そうだって直感が告げるんだ。


「じゅうだいめぇ!」


声から溢れてる。
獄寺君が俺に向けてくれる笑顔、表情の一つ一つ、態度、姿勢…全てから好きって思いが滲み出ている。

…どうして?


「ねえ、獄寺君」

「はい!なんでしょうか10代目!」

「何で君は俺を好きなの?」

「ぶっ!?」


獄寺君が銜えていたタバコを吹き出した。

もちろん避けた。


「っすみません10代目大丈夫っすか!?いやそれより何故オレの気持ちを知って…はっ!まさか超能力…」

「獄寺君、君は俺をなんだと思ってるの」

「10代目っす!」

「はぁ…あのねぇ」


謝罪、焦り、深刻そうな顔をしたかと思えばぶっとんだ方向へ思考を展開させる。
かと思えばオレの言葉を逃すことなく満面の笑顔で即答する。

そこに純粋な好意以外他意が含まれていないあたり、タチが悪い。


ため息をつくとおろおろして、ちらりと見つめるときょとんと受け止めて。

何を言われるのかとじっと待つ、その姿は。


俺の言葉を聞き逃さんとしてピンと立つ耳に、ゆらゆら揺れる尻尾が見えるのは気のせいだろうか幻覚か。


ほわんと絆されそうになって、慌てて頭を振った。


「…ごまかされないからね」

「へ?」

「何で、俺を好きなの?俺は君に、何も返してあげられない」

「…いいんです、それで」

「……何がいいんだよ」

「オレが、あなたを好きなんです。オレがただ伝えたいだけなんです。それで伝えているだけなんです。それに見返りなんて求めません。10代目は今のままでいいんです」

「君は報われないままだ」

「報われてるっすよ?お側に置いていただけてるんで」



そう言って笑う君に、胸が痛んだ。




報われない

君が俺に見返りを求めないから。俺は君に、何も伝えることができない。






___________
口調勉強中。
本当は続きがあったりとか加筆箇所があったりとかしたのですが都合により省きました。←
自分が伝えるだけで満足な獄寺君と、その想いには応えられないと思いつつそれ(獄寺君の姿勢)がもどかしくあるツナのお話。



[2011.08/07]
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