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□‡おかえりなさい(待ってたの、ずっと)
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#おかえりなさい(待ってたの、ずっと)《オーハセ》
オーヴァンが帰ってくる話。
いなくなるなんて思わなかったから。
消えた後俺は何にも考えつかなくて、わかってるのは再誕は発動者に酷く精神的なダメージを与えることだけ。
それも実感沸かなくてなんかずっとどこかにいる気がしてたんだ。
旅団の時みたいにふらっと現れて消えてまた出て来るんじゃないかって。
けどやっぱりTheWorldにもログインしてこなかった。
当たり前だけど。
だっていつもいなかった。
俺が学校が終わってオーヴァンに会いたくてログインしても当然の如くいなくてタウンで見かけて追い掛けても追い付かなくていつの間にかいなくなってて。
だからいつも言いたいことは山ほどあったんだ。
普段なにしてるのか。
リアルの名前。
なんでTheWorldやってるか。
聞きたかった。たくさん。
けどそれももう本当に聞けなくなったんだな。
声を聞くことも同じ物を見ることも出来なくなった。
散々追い掛けさせて最後は捕まえられないで終わりなんて酷すぎだ。
アイナだってアンタと会いたがってる。
みんな待ってるのに、
早く帰って来いよ。
じゃないと、俺は、
(いつまでもアンタに振り回されてばかりで負けっぱなしだ)
「ハセヲ」
「…志乃?」
「こんなとこに居たの?」
「…別にいいだろ…」
「……オーヴァンのこと待ってたんだ」
「…待ってない」
「フフ…そう」
「……」
待ってるわけじゃない。
もうほとんど無気力なんだ。
事件も片付いて痛みの森も終わって平和になったTheWorldは少しつまらない。
レベル上げも何を目標にするかわからなくなってずっと半端な149レベでいる。
毎日毎日無気力にカオスゲートの近くに座り込んで行き交う人を見てるだけ。