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□‡その感情の名は、
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TheWorldにログインして数時間。
エンデュランスを連れてレベル上げついでにギルドショップへ出品する品物を手に入れて現在、カオスゲート前にいる。
今日は妙に人が少なくて俺とエンデュランスを見て騒ぐ声も少ない。
はっきり言うとうざくて仕方がないからうれしい。
ガスパーに品物渡して、今日は早めに落ちようかなんて考えてたら不意にエンデュランスが俺の顔を覗き込んだ。
「な、なんだよ」
「なんだか急に黙り込んだから…。心配になって…」
「別になんもねぇよ!」
「ならよかった…」
薄く微笑んで顔をあげる。
長い髪が肩からパサリと落ちてCGグラフィックなのについつい見とれるくらい綺麗で。
じっと見てたらなにかを思い出した様に今度は俺よりも上から話し掛ける。
自分より上ってのがいちいちむかつくけどな。
「ハセヲ…リアルで今週の日曜、空いてる…?」
「あぁ…空いてるけど」
「じゃあ会えないかな…?久しぶりに…会いたい…」
「あー…久しぶり、ね…。詳しい話しはメールでいいよな?」
「出来れば二人で話したいけど…こんな時間だし仕方ないね…。またメールするよ…」
それでエンデュランスはログアウト。
俺はガスパーに品物を渡しにギルドショップへ向かった。
久しぶりってわけじゃない。
一週間前に会ったばかりだ。神奈川と東京じゃ近いって言っても距離があるからそんなにちょくちょく会えないししょうがないけど。
なにも言わず最後まで付き合ってやろう。
それが俺があいつから『彼女』を奪った罪滅ぼしになると思うから。
жその感情の名は、