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□‡バカなりの悩み事
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こんなときでさえ、ハセヲのことを口走る軽率な行動。
今の俺は人間として最低だ。
なのにこいつは笑ってる。
「そうです。僕が結果をハセヲに伝えるよりクーンさんがちゃんと伝える方が喜びますよ。だから、ね?」
「…!…悪い…ホント、悪かった…」
「いえ…僕、これからガスパーと約束があるからもう行きます。それじゃ」
淋しげな背中がプラットフォームヘと消えていく。
俺はホントにハセヲしか見えてなくて回りを気にしてなかったな、って今改めて思った。
それだけハセヲを愛してて、シラバスの言った通り恋愛に歳の差は関係ない。
だからちゃんと会ってちゃんと言おう。
怒って相手にされなくても土下座してでも
俺はハセヲが好きだよ と
「ハセヲ…」
「クーン!?」
思った通りにカナードでシラバスを待っていたらしくギルドから出て来たところだった。
お互いそこで止まって見つめ合う形になり思わず目を斜め下へ反らす。
沈黙が続き辺りに人がいるにも関わらずまるで二人っきりの空間にいるみたいで辺りが無音だ。
言わずとも沈黙。
そしてその沈黙を先に破ったのはハセヲだった。
「……高校生で、悪かったな…」
一気に現実に呼び戻されるように回りの音も耳に入り込んでくる。
「な、別にハセヲは悪くないっていうか、俺が全部悪くて!ホントごめん!」
「なに、高校生は受け付けねぇ?」
「違う、そーじゃなくて!世の中には援交というものがあってだなぁ…」
「そのくらい知ってる。じゃあ今まで体目当てで俺のこと抱いてたわけだ」
「それも違う!俺は一」
「それでも俺は本気で好きだった」
「…!」
言葉が出なかった。
そんなこというとは思わなかったから。
いつも素っ気ない言葉で返されたりするから興味がないか本気でイヤかしかないと思ってたのに。
なにか言わないと、
「…俺カナードに戻る」
「……ハセヲ!」
ハセヲがアットホームに戻ろうと体を反転して背を向ける。
それを阻止したくて、言葉が出るまで待ってほしくて、辺りに人がいるっていうのに抱きしめてた。