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□‡その感情の名は、
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我ながらなんて馬鹿げてて恥ずかしい質問をしたと思う。
しかも無意識。
言った後、顔がカーッて赤くなってくのがよくわかる。
そんなの彼女に決まってんのに。


「…『彼女』は…もう戻ってこない…だからそんなこと考えても虚しいだけ…。
……でも…もし本当に戻って来たら…今までやって来たAIDAの除去…再誕の碑分使い…全てが無駄になるから…」


あぁそうか。
『彼女』を必要としないんじゃない。
必要と出来ないんだ。
『彼女』が戻ったら他のAIDAも元に戻るだろう。
そうなったら俺達の…オーヴァンのしたことは全部無駄になる。
本当は『彼女』の復活を望みたいのにそれも断ち切るなんて薫はすごい。
死の恐怖の時の俺は周りとか考えずに三爪痕を追い掛けてたからその点で薫は大人だ。


「……AIDAが蘇ったら…ハセヲはもう一度ボクを必要としてくれる…?」

「…俺は今でもお前が必要だ」

「そうは見えない…。ボクだけが頼りにしてて…ボクだけが縋って。端から見たらそれは一方的な必要…だと思う…。想いは一方的でもいい。でも必要にだけはしてほしい…」

「んなの…」


俺は薫を必要としてなかった?
だって薫の好きなように、会いたい時に会って話したい時に話して、薫をちゃんと満たしてたはずなのに。


「お前が悪いんじゃん…。彼女彼女ってやっぱ彼女が戻って来たら彼女選ぶんだろ…!?どうせ俺は替わりだ!俺はお前のこと好きだから…!」


一瞬薫の表情が歪んだ。
勢い余って溜めてたことを吐き出してスッキリするはずなのに今、後悔しか残ってない。


「亮…本気で言ってるの…?」

「っ…」

「ボクは亮のこと替わりなんて思ってない…ミアが戻って来たって亮を選ぶよ…?」


怒りとも悲しみとも取れない声で言葉を紡ぎだす唇。
俺は、薫のなにも見れない。
顔も、目も、口も、視界に入れたら俺は泣き出すかも知れない。
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