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□お題
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#電波が届く距離《薫亮》
「あ、悪い。電波が一」
プツンと切れてしまった音、彼の声。
携帯越しに聞こえる彼の声はとても穏やかでゲームで聞くものとはまた違うものがあった。
僕らはゲーム内だけの関係だからリアルで会うことはない。
今世界は水がないと生きていけないように僕にもハセヲがいないと生きていけない。
この僕と君を繋ぐ唯一の電波が途切れたらどうなるだろう。
TheWorldも、パソコンもメールも電話も。
絆でさえも、僕たちを繋ぐものはなに一つ無くなってしまうのかな。
僕はそれでも君を忘れはしないし会いに行くことだって考えるけど君は会いに来てくれる?
僕たちを繋ぐ電波が途切れても忘れないでいてくれる?
電波が消えたら全てが終わる、なんて簡単だけどそれが僕たちだから。
ハセヲのためなら家を出ても構わないし死ぬことも怖くないけど君に迷惑はかけられない。
イヤなら最後の繋ぎの電波も全て断ち切るよ。
ーー♪
携帯の着信音が鳴って僕は急いでそれを手にする。
電話に出るとそれは紛れも無くハセヲ。
「悪い。ここ電波悪くて。それでさっきの続きなんだけど…」
「……うん」
「?どーした?」
「フフ…なんでもないよ」
声音だけで心の変化を読み取ってくれる。
ハセヲはいつだって途切れた電波を繋いでくれるから、
僕はそれに答えられるように君へ電波を飛ばすよ
一一一一一一
ほんまもんの電波男(笑
まだ会うのが怖くてお互い顔も知らない状態。
亮の話は今度リアルで会おうって話。
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