.hack//

□‡狂喜にのまれ堕ちて逝く
2ページ/3ページ



気持ちは相手に見えないもので

見えても伝わらないこともあって

ボクは伝わらないって分かってるから

せめてこの声がキミに届くように、と







「……ハセヲ…今日も綺麗だね…」
「なんだよ、急に。別に綺麗じゃねーって。つーかはずいからいちいちいうなよ」


それは留めておくだけじゃ伝わらないから。
相手の気持ちが見えないTheWorldの中でそれがわかるのは言葉だけ。

だからこの世界では文字の羅列でしかないけれど愛の言葉を囁いているのに。

キミにはボクの本当の気持ちが伝わることなく流されていく。


「俺風呂入るから落ちるからな」
「……うん…。次に会えるときまで、ボクはいつまでも待っているから…」


そして目の前から愛しいハセヲの姿が消えた。

一緒にいる間、ボクは生きているんだと実感が出来ていたのに、ハセヲがいなくなることでそれは虚無感に変わる。

次に会うまでの長い、長い時間。
ボクはどうすればいいのかな。
この虚無感がひたすら重くのしかかってボクは自由を失う。
それでもハセヲに会えたらその重みは消えてフッと軽くなるんだ。
自由と同時にハセヲに会えた喜びで満たされて長い長い時間でさえ楽しみで堪らない。
愛する人を待つ苦しみよりも愛する人に出会えたときの方が何倍も心に残るから。
それだけハセヲの存在はボクの中では大きくて消せないもの。

だから、いつまでもハセヲの側で














「おまえって…身長やたら高いな」
「…そうかな…」
「俺もどうせならもうちょっと身長高くしとけばよかったぜ」
「…ハセヲは…今のままでいい…。これ以上変わる必要なんてない…」
「……お前、さ…」


躊躇いを持ってボクを見つめるハセヲの作り物の瞳には作り物のボクが映ってる。
本当の君の目に本当のボクを見て貰いたい。でもそれが出来ないのはまだ気持ちが伝わってないから。
だから早く、早く、
その先の言葉を。
唯一ボクとキミを繋ぐ言葉を早く。


「…ハセヲ…?」
「性格いいし、顔とかすごいかっこいいし、どうせ好きになるならちゃんとした女とのほうが良いと思う、じゃねぇとこの先損するぜ…?」


顔を伏せて呟いた言葉にボクは多分泣きそうな顔してたと思う。
今まで好きになってくれなくても傍にいられたなら良いと思ってたのに、傍にいることすら拒否。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ