晴天の霹靂・番外編

□興味探究
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理由なんて特になかった。
強いて言うなら、なんとなく面白そうだなって思ったから。
彼女にはほんの少し興味があったから。
彼女のことは、立海で知り会う前から知っていたからね。

なんたって日本女子プロの中でも期待の若手選手の妹なのだから。
プロである姉の手伝いをしている彼女は、たまにちらっとテレビにも映っていた。
にこにこしていて、姉のことが本当に好きなんだなぁこの子。そういう風に思っていた。
だから立海で見掛けた時はびっくりした。
特に、仏頂面でうちのテニス部に乗り込んできた姿を見たときは驚きの余り呆然。

(テレビと全然印象が違う)

それが、本人を目にして最初に思ったことだった。
もっともテレビでも彼女はたまに写るだけ で、オマケのような扱いだったから、性格なんかは全然知らなかったけど。
俺が部長になってからは真っ先に、彼女は俺の元へ乗り込んできた。

「用件は、分かってるよね?前部長から聞いてるでしょ。と云うか、むしろ一年前より酷くなってて困るんだけど、なんとか対処してくれないかしら」と。

俺にたいして彼女が話し掛ける。
それがなんだか不思議で、違和感しか感じなかった。
前の部長と彼女が話してる姿は何度も見ていたし、ファンのことについても聞いていたけど。
なんだか可笑しくて、もっと彼女を知りたいと思った。
そこにはこれっぽっちの疚しさもなくて、ただ単純に、彼女が面白くて。
テレビと目の前の彼女の、ギャップの訳を知りたいと思った。

(だから )

彼女には悪いけど、赤也との一件は、まさにチャンス。
ようやくちゃんと彼女を知るきっかけを掴んだ瞬間だった。

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