PandoraHearts
□消えた笑顔
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「坊ちゃん、坊ちゃん!!」
黒髪のくせっ毛をなびかせながら、うららかな春の午後の森を歩き続ける。
「もう、どこですか!!!もうすぐティータイムのお時間――――」
「おっ!!!ホントかギル!!!!」
ガサッ!!と真後ろの草むらから出て来たのは金髪の少年。
黒髪の少年はびっくりして尻餅をついてしまった。
「ぼぼぼぼ坊ちゃん!?」
「そんなビビんなって。ほらっ立てよっ」
スッと差し出された手に掴まり、立ち上がる。
「もうっ!部屋に居てくださいって言いましたよ!!」
「言ってたっけ?」
「言いました!!!!」
「あーはいはい、わかったわかった。じゃ、行こうぜっ」
懲りてない様子の少年が歩き出すと、慌てて黒髪の少年が追いかける。
「坊ちゃんが居なくなって、心配したんですよ!!」
「はいはい、わかってるよ」
オズは軽い調子で言葉を返す。