story
□特別な存在
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グラスを片付け 戻って来たコックが ベッドの端に静かに腰掛けた。
腹に掛かっていたシーツを両手で掴み 俯く。
今の自分を なんとなく見られたくはない。
あの時の光景が蘇る
七武海相手に 手も足も 出ず、一味を救う手立てがなかった‥‥
(ふがいねェな……)
あの時、命を捨てる覚悟があった。
『おめェが死んでどうすんだよ…!!』
悲痛な叫び―
『悪ィが コックならまた探してくれ』
お前の覚悟も痛ェ程わかった。
あの言葉は胸に突き刺さる。
あんな事はもう二度と言わせたくねェ…
(チクショー…)
握り締めた手に力がこもる。
(チクショー…!)
目頭がジーンと熱くなる。
(チクショー! 俺ァ‥まだまだ弱ェッ!!)
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