濁玉

□六花の恋
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初めて彼に出会ったのは、六花の雪のように真っ白な桜が乱舞するなかで、彼はのんびりと、読書に勤(イソ)しんでいた。



私のお気に入りの場所で………。

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【出会いは桜吹雪の中で…。】



驚いた。だって、ここは誰にも話していない私だけの秘密の場所だったから。

ここは、私の通う“私立紫龍院学園初等科”略して紫龍学院、仰々しい名前をしているだけに、それなりの歴史や伝統がある、田舎にしては―否、田舎だからこそかも知れない―壮大かつ威厳ある造りの校舎と町一つ丸ごと内包する学園は最早学園都市と言って過言ではない、全体がもの凄く大きく、また半全寮制と言っても良い学園はかなりの敷地である。

そんな大きな学園だから、初等科と云っても随分と広く、ここはその初等地(初等科に必要な設備が全てある所―初香(ウイキョウ)―)の中でも奥まった場所で細くて複雑な路地を行った所にあるのだ。
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