濁玉

□不完全な不死鳥の話
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遠い、遠い果ての森で、一つの卵が孵った。
遠い、遠い果ての森に、歓(ヨロコ)びと、驚きが満ちた。


その森に獣共在りぬ、
その獣共、神にも通づる神通力(チカラ)有りけり、
然あれど、その森徒人え在らじ、
その故、その森内を守護すべきために、外界との狭間にて結界を張られたり、

人、その森に近付くなかれ、
資格無き獣共、その森に入(イ)るなかれ、

その森、斎き神子すら近付けることなしと思ほされ、

その森、人、資格無き獣共、入(イ)る時、
その人、資格無き獣共、猛き罪科、与ふられしこと、必至なるなり、


人、資格無き獣共、その理破ることなかれ、
人、資格無き獣共、その理忘るることなかれ、

その理、破られしとき、天は凍てつき、地は燃える、

山は大河となり、河は砂に埋もれる、木は死に絶え、金は消え失せる
五行の理は狂い、清陽は濁陽に、濁陰は清陰になりぬ、

人よ、資格無き獣共よ、それを畏(オソ)れよ、それを正せよ、

さすれば汝らが和は恒久のものとなろう、
されど、破られしとき、陰と陽の均衡は崩れ、約束されし和は、砕け散り、

永劫の苦が汝等を絡め捕るであろう。
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