中央編E

□中央編 シン系マフィアに拉致られた!
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「テメーら、誰を拉致したと思ってんだ。んなヌリぃこと言ってんじゃねェぞ!」
「ひいっ…!」
 エドワードは、異国の衣装を着た男たちを、睨みつけた。拉致されたと思った瞬間、早々と着替えさせられ、一見アメストリス人だとは、わからぬようにされた。――というのも、異国、と言ったが、その衣装はシン国の物だった。
「だ、だから、間違えて…!アメストリスを牛耳っているマフィアのボスを狙ったのだが…」
「ああん!?まさか、マーカーと間違えたのか!?オレとあいつ、どこが似てんだ!似てるのは、身長だけだろっ!」
 いやいや、そこも似てませんよ。というツッコミは、今は誰もすることはなかった。エドワードがいる場所も、シン国独特の家具や窓といった、異国の空気が流れる場所で、拉致されてすぐ、この場所に軟禁されたのだった。
「で?オレをどうするつもり?まさか、中央司令部司令官を拉致っちゃって、間違いでしたって返すわけ?今頃、ウチの弟が怒り狂って、隊を率いてこっちに向かってるぜ?大体、シン系マフィアは、泳がしてたのに、これを機に、一気に敵視されちゃね。うん」
 そんなことを言うエドワードに、一同は怯えたように小さくなった。
「明日には、壊滅だよ?いいわけ?」
「――っ!」
「しかも、オレ、現大総統ロイ・マスタングの愛人なんだけどなぁ。オレが一声かえたら、おまえらなんて、消し炭」
 エドワードは、にやり、と笑ってロイの錬金術を真似るように、指を鳴らした。

「目隠しされてて、見えなかったけど、異動時間を考えて、ここはセントラルシティのはずれあたりか。あと一時間ほどでくるかもな」
「わ、悪かった!今すぐ、解放する!」
 一人の男がそういうと、
「いや、待て。解放したら、オレたちだとバレる。今のうちに、殺して、バラしておけば、足もつかない!」
 と、もう一人が言う。
 他の数人も、ざわざわし始めた。

「おまえら、オレのことチョーバカにしてんだろ」
 そういうと、エドワードは、両手を叩いて、優しい明かりを灯していたキャンドルスタンドを短剣のように、錬成した。
「「!!」」
 辺りにいた、男たち数名は目を見開き、一瞬で物が変化したそれに、驚きで声を上げた。
「国家錬金術師って知ってる?」
 にっと笑ったエドワードに、男たちは蒼ざめ、なんという男を拉致してしまったんだ、と後悔していた。
「マーカー…いや、マフィア・ドラノエのボスを拉致して、おまえらの傘下に入れるつもりだったんだろうけど、誰も相手しねェと思うぜ。しばらく、大人しくしてたほうがいいぜ」
 そういうと、エドワードは立ちあがった。

 微かに、外から物音が聞こえた。

 ダダダダ、と外から聞こえる発砲音に、男たちの怒号が聞こえた。

「お迎えだ」
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