中央編E
□中央編 司令官さまさま
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司令官さまさま
『被害報告!小隊三隊全滅!退避命令を!』
『司令官、応答願います!現在、最前線にて――』
『命令を!司令官、命令を!』
エドワードは、しばらく耳を流れる焦った佐官たちの声を、無表情で聞いていた。
実際の戦争だったら、三隊の被害で済むわけがない。
相手は、ハーク。…つまり、中央司令部副官、ハーキュリーズ・アンダーソン大佐だ。
「少将。動きたくないのは分かりますが、命令くらいは下したらどうです」
黙って司令官を見ていた、エフィー・アンダーソン中佐は、思わず声を出していた。
「こちら側の負けは目に見えています」
「はっ。オレには見えねぇけどな」
「え?」
「なんで、ここにユンがいない?」
そこで、アンダーソン弟は、はっとした。だが、
「尉官一人でなにができるんです?」
「なんでもできるさ。こうやって、司令官に命令を乞うヤツラよりは、な」
エドワードは、に、と口角をつりあげた。
そして、インカムを手で支えて、エドワードは、
「聞け。全軍、C地点にいるサガン少尉に現状を聞き、状況をすべて把握。オレが到着しだい、敵を撃つ。細かい命令は、オレが着き次第だ」
『!?』
携帯無線の向こうで、全員が絶句したことだろう。そこにいる、アンダーソン弟だって同様だった。
「どういうことです!貴方が最前線に行くなんて!」
「おまえが、ココにいるだろ。オレは、この目で見ないのに、命令なんて出せねぇし」
「小隊を三隊も全滅させておいて!?」
エドワードは、に、と笑った。
「さて、それは、本当に全滅だろうか」