中央編E

□ 輪廻転生
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輪廻転生


ギーバタン、ギーバタン
今日も、機織りの音が聞こえます。毎日、朝から晩まで、機を織るお仕事をしている、織り姫エドワードは、休むことはありません。


「やあ、エドワード。今日も機織りかい?」
わりとこのあたりでは、地位が高いらしいロイがいつものように、現れて、
「何しにきたんだ。うざい」
「エドワードもそろそろ年頃だ。恋の一つや二つ、知っててもいいんじゃないかね?」
「…必要性ねーよ。この布、納期迫ってんだ。邪魔すんな。てめーも一緒に織り込むぞ」
「そんなだから、嫁入りできないんだぞ。顔はいいんだから、その言葉遣いと態度を改めろ」
「繕ってまで嫁入りなんかしたくねーし」
ぷいっとそっぽを向いて、エドワードは再び機を織りはじめました。

「ああ。そういえば、向こうの土地に、牛飼いの彦星がいたな」
「?」
「なかなかいい男でモテるのだが、仕事が好きでね。一度、会ってみないか」
「…興味ねーし」
「そうだな。明日のよる、会わせるから一番良い着物をきてこい。場所は、ココだ」
一方的にそういわれ、場所を指定した紙を渡された。
「必ず来いよ。仕事、回さないぞ」
「!卑怯だぞ!」
「はは」
胡散臭い笑みを浮かべて、ロイは行ってしまった。
「ったく…」


指定された店に行ってみたら、そこはわりと高級なレストランだった。自分では絶対行かない場所。
「うわ…」
「待たせたな、エド。こっちだ」
ロイに促されて、連れてこられた席に、金の短い髪をした男が、ぺこり、と挨拶した。
「こちら、牛飼いの彦星アルフォンス。こっちは機織りの織り姫エドワード」
二人は、目を合わせた瞬間から、お互いに目を奪われてしまったように、じっと見つめあっていた。
「あ、あの、アルフォンスです。こんばんは」
「ども…」
「もっと愛想よくしたらどうだ、エド」
「うっせーわ」
「では、私は、他でデートがあるので、失礼する。じゃあな」
「え、あ、ちょっと!」
 そういって、ロイはさっさと出て行ってしまった。

 残された二人は、頬を赤らめて。
「っと…」
 なにを話したら、といった空気が流れた。
「…その、着物、綺麗ですね」
「ん、ああ。これか。オレが織った布で作った着物なんだ。滅多に、自分のものにはしないんだけど、たまたま…」
「すごくお似合いです。綺麗」
「そ、そうかな…」
 真っ赤になったエドワードは、
「あ、の、よかったら、織ってやろうか…」
「いいんですか!ありがとうございます」
 そんな笑顔に、エドワードも頬を赤らめて、口端を釣り上げた。



 エドワードとアルフォンスは、毎日会って、毎日一緒に遊び、笑い、愛を語りました。だから、二人はとても幸せでした。


「エドワード、ウチの納期が迫っているが、大丈夫なのか」
 ロイにそういわれて、エドワードは、
「ああうん。ちょっと行ってくる」
 といって、家をでようとした。
「最近、毎日それではないか!」
「そうか〜?」
 ロイが部屋にはいると、機もホコリだらけで、くもの巣ができている。
「貴様、仕事していないな!?私が、引き合わせたとはいえ、仕事もせず、毎日逢引きだと!?」
「だって、アルに会いたいんだもん」
「私でも、仕事はしておるぞ!」
「行ってきま〜す」
 さっさと行ってしまったエドワードに、ロイはため息をつきました。
 このままではいけない。このまま、仕事もせずのめり込んでしまっては!
「…これは引きはがすしかない」

 これでも、位の高いロイ。これくらいの力はあるようです。
 聞くと、アルフォンスも、牛飼いの仕事もせず、逢引きばかりだという。そのため、二人は絶対に会えないように、離れ離れにしてしまったのでした。

 そして、数日後。
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