中央編E

□中央編 ちびっこぎゃんぐ
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ちびっこぎゃんぐ



 マフィアと軍が衝突している――
 そういう情報を聞きつけた、アンダーソン兄は、すぐさま駆けつけることとなった。
本日、司令官は休暇で、現場からの情報がそれ以上、上がってこなかったので、仕方なく急行したのだ。

 だが、現場、と言われた場所は、しん…としている。
 現場――セントラルシティのはずれにある、ホテルだが、寂れているわけではなく、なかなかの高級ホテルだった。
 そのホテルを、軍隊が取り囲んでいるという状況だった。銃撃戦があるわけでもなく、辺りは静かだ。

「マフィアというのは、何名、中にいるんですか」
 アンダーソン兄が、いち早く駆けつけた隊にそう尋ねると、
「三十名ほどらしく、なにやら幹部会だというのですが、そこへ、エルリック少将らしき人間がいた、という情報をききつけ、確認のために我々の隊がやってきたのですが、そこから、衝突、という扱いになってしまいました。ですが、今の時点で、銃撃戦などはありません」
「少将が?」
 たしかに、マフィアとトモダチだと言っているので、会いにいったとかそういうことだろうか。

「それは証明されたのでしょうか」
「いえ、まだです」
「では、ここで待機、私と、アンダーソン中佐とユン少尉で参りますので」
「し、しかし、副官が行かれるとは…」
「大丈夫です。ユン少尉、エフィー、行きます」
「ああ」
「はい」
 同じような顔つきで、アンダーソン兄弟は、ホテル内へと忍び込み、その後にユンがついていった。


一方、大総統府――
「は?エルリック少将が、マフィアの会合に出席している、と?」
 その情報を、中央司令部上層部に位置する、大将の部下が、報告に来て、大総統秘書官、アルフォンスは、そう尋ねた。
「はい、その事実を確認し、ただちに、彼を拘束しては」
「では、その旨を大総統に伝えておきます」
「今現在、セントラル外れの、ホテルで、マフィアと軍がにらみ合いをしているんですよ!ただちに、確認を!」
 そう急かされて、アルフォンスは、にこり、と笑みを浮かべた。
「事実確認をいそぎますね」
 そういうと、秘書官は、大総統の執務室へと入っていった。


「…ということらしいのですが」
 アルフォンスが大総統にそう報告すると、大総統、ロイ・マスタングは、大あくびをしてから、
「…事実だ。でいいだろ」
「それは、問題でしょうが。いっくら、そうであったとしても――って!兄さんは、マフィアではありません!!」
「似たような人種だろうが」
「くっ…否定できない…」
 認めざるを得ない、兄のさまざまな行動を思い浮かべてしまったアルフォンスだ。勝ち誇ったようなロイの表情を睨む。
「どっちにしろ、エネル伍長を向かわせて、おまえも行きたかったらいってもいいぞ」
「いいんですか!?でも、書類はちゃんとしないと、ご家族との楽しい夏休みはありませんからね!!」
「わかっておるわ!」
 そうして、アルフォンスとエネルが大総統府を出発した。



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