toy ring3

□水着ファッションチェック!
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「なんか、楽しみだよね」
 朝からウキウキしているアルフォンスだが、手はちゃんと動かしていて、大きな鞄に荷物をつめている。
 明日から一泊の仕事を兼ねた旅行だ。一日目は、テレビの仕事と雑誌のスタッフとの撮影が入っているが、その夜から翌日まではフリーとなる。

「…なんで、おまえさっきから、女性用水着詰めてるわけ?」
「え、必要でしょ?」
「いらねーだろーがっ!今回は、水着ファッション審査員だぞ!?」
「そうだよ〜でも、折角ビーチに行くんだし」
「おまえの水着じゃねーだろ…」
「あたりまえだよ〜僕が女性用着れるわけないじゃん。僕、男だし」
「じゃあ、ウィンリィのかな…」
「ウィンリィはもう少しお胸が大きいからね〜ちょっとこれじゃあサイズが…」
「じゃあ必要ねーな」
 そうあっさり言われて、エドワードはアルフォンスがいれた鞄の中身を、ぽいぽいと捨てていく。
「ああああ!なんでーっ!?兄さん用でしょ!?兄さん、他になに着るつもり!?もしかして、貝殻で隠すとか言わないよねー!?」
「いうかーっ!!オレはオトコだ!海パンいっちょで十分だろーがっ!」
 そこで、アルフォンスが、どさ、と手にしていた荷物を落とした。
「…何…兄さん、兄さんの可愛いくてキレイな乳首を、晒すつもり!?みんなが真っ赤になって、視線そらしちゃうよ!?白い肌にピンクの乳首だなんて、いやああああ!AV撮影かと思われちゃうよー!!」
「人を卑猥物のように言うんじゃねー!!オレだって審査員なんだし、女性用着てたらオカシイだろーが!」
「今更だよ、兄さん…」
「うっせー!!」
「じゃあ、せめて!せめて海パンとパーカーは僕にデザインさせて!」
「…今から作るのか!?」
「三時間もあれば大丈夫。海パンは、あるものを弄るだけだし」
「……」
 海パンなら、いっか、とエドワードは仕方なくそれを承諾した。


「審査員の方、お集まり下さい」
 ビーチに設置された、『水着ファッションチェック』というセット。テレビ番組のワンコーナーだ。水着が似合っているか、その人物のスタイル度、表情など、美人コンテストに近いもののようだ。
「アルフォンスさーん!『ed』さん!こちらです!」
 そう呼ばれて、二人が用意されたテント内の椅子に座った。
「カメラテストしたいんですけど、『ed』さん、ちょっとステージに立っていただけませんか?なんせスタッフが少ないもので」
 立つくらいならいいけど、と思いつつ、「あ、はい」と椅子から立ち上がる。
 エドワードは、アルフォンスが用意したホットパンツかと思われそうなくらいの、短い海パンに、パーカーを羽織っている。パーカーもフツウのように見えるが、アルフォンスマジックか、エドワードにぴったりと合うように作られていた。
 しかも、パーカーのファスナーはあけっぱなしで、胸が見えるか見えないかのギリギリを描いている。これもまた、『アルフォンス☆マジック』だと、ウィンリィは遠くでそれをみて呆れていた。

「歩くだけですか?」
 ビーチに用意されたステージを歩くように言われ、「え、男っぽくでいいですよね?」と確認したら、「いつも通りに」と言われた。
「オレのいつもどおりってなんだろ!?」と余計にパニックになったが、リハーサルが始まったので、仕方なく歩き出した。
 男性モデルの歩き方で、歩いていたら
「すみません『ed』さん。女性用水着なんてないですよね…?」
 とスタッフに恐る恐る聞かれた。
「いや、オレ、男ですけどー!?」
 と叫んだ瞬間、アルフォンスが
「ありますよ〜?ってか、その水着にトップ着ればいいだけですからぁ」
 とにこにこで飛んできた。
「おまえっ!」
 用意周到、とはこのこと。
 アルフォンスは、エドワードのパーカーを脱がすとすぐに、キャミソールのようなものを着せた。が、背中は紐で止めてあるだけで、臍もちゃっかり見える。そしてサンダルもヒールのあるものになった。
「こっちのほうが、実は露出少ないんだよね〜兄さんの体ってばぇろいから」
 ぼそ、と耳元で囁かれて、エドワードは真っ赤になって「アルフォンス!」と叫んだ。
 アルフォンスは、にこにこしながら、再び羽織っていたパーカーを着せて、
「もう一回お願いしまーす!兄さん、ファッションショーみたいにしてみて」
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