新婚シリーズ2

□新築
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 鳴り響いたエドワードのケータイ。それに取ると、アルフォンスからだった。
『あ、兄さん?今どこにいるの?』
「新しい家。大工さんにお茶だししてる」
『あ、ありがと。じゃあ、僕はいいよね』
「うん、大丈夫」
 電話はそれだけで終わって、ケータイをしまうと、「すみませーん、エルリックさん」と声を掛けられて、「はい!」とエドワードは、工務店の人らしき人のところへ向った。

「はい、はい。それでいいです。ありがとうございます」
 ぺこり、と頭を下げて、エドワードは建設中の家から出てきた。
「あ、奥さん!」
 後ろからそう呼ばれて、エドワードは振り返った。
「はい」
「これ、落としましたよ」
 見ると、ケータイ電話だ。いつのまに落としたのか、気がつかず、丁寧に頭をさげてそれを受けとろうと手を伸ばした。
「ありがとうございます」
 受け取ろうとしたとき、指先が男性に触れると、相手は微かに赤面している。
「?」
 相手は、まだ若い。エドワードよりも、3つほど年下のように思えた。
「いえ、なんでもないですっ!奥さん、お綺麗ですからっ!」
「はっ?」
 そのまま、男は踵を返して行ってしまった。
 よくわからず、エドワードは「あ、会社っ!」と慌てて、走っていった。


「兄さん、今日、ありがとね」
 会社でこそ、とアルフォンスがそういうと、エドワードは「いや、たまにはオレもやらねーとな」と答える。
 いつもは、外回りのアルフォンスに頼んでいた『お茶だし』だが、ここ二、三日はエドワードが担当していた。
 そんなとき、エドワードのケータイが鳴り響いた。
「?」
「どうしたの?出ないの?」
「誰の番号だろ」
 首をかしげつつも電話に出たエドワードは、
『あの、ゼロ工務店のタカムラと申すものですけど…』
「え、あ。はい」
 どうやら、声からして先ほどケータイを拾ってくれた男だった。
 しばらく話して電話を切ると、
「どうしたの?」
「工務店の人から電話。今日、話があるからあってほしいって…」
「ええっ!?ちょっとまってよ!それって、何かのお誘いとかじゃないの!?人妻に手を出すなんて、どういうつもりだよ!!僕も一緒に行くから!」
「え…」
「だって、大体なんで工務店の人が、兄さんのケータイ知ってるわけ!?」
「あ、それは落としてたから、かな」
「計画だよ!かってに人のケータイ見て番号調べるかな!?」
「でも、連絡先にオレのケータイ書いたかもしれないし。それに、悪い人じゃなさそうだったし」
「もー兄さん!そういう考えが、甘いんだよ!」
「う…。じゃあ、一緒に来る?」
「と・う・ぜ・ん!!」
 
 ということで、二人で待ち合わせの場所に向った。
二人がついたのは、居酒屋。工務店の人らしき人間二人とハウスメーカーらしき人間が一人いた。
「ほら、ちゃんとした話じゃん」
 微かに赤面したアルフォンスだ。
「だったら、どうして僕を呼ばないわけ」
「そうだけどさ」
「あの、すみません、エルリックさん。ケータイ…」
「あ、ああ。大丈夫ですよ。それで、なんでしたか?」

 話を聞くと、有名な芸能人が立ち上げたブランドとハウスメーカーや家具屋などがタイアップして、家具やキッチンツールをデザインしたらしい。それに当選して、家具やキッチンツールなどがもらえるらしいのだ。
「え、いいんですか?」
「はい。絶対いいものにしてみせますから!」
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