未来軍部11

□お薬飲めたね☆
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 エドワードは、じゅる、と鼻水をすすると、そのままエイジ隊待機室に向った。
「…はれっ?」
 エイジ隊待機室には、誰もいない。
「おお、そうだった」
 今日は、アルフォンスもいない。アルフォンス隊、エイジ隊、他、司令部内の小隊が半分いないし、ソニック准将もベレッタ少尉もいないはずだ。昨日、夕方から夜間訓練で近くの山に行っているのだ。
 いるのは、のこり半分の小隊と、ガネット、マーカーそして自分。

 昨夜、雨に打たれて現場の指揮をしていたためか、今朝からどうも身体の調子が悪くて、咳や鼻水が酷い。
 アルフォンスが帰ってくる前に、どうにかこの目に見える症状だけは抑えておきたい、と思いエイジ隊待機室を訪れたわけだが…。
「ええっと薬棚…」
 エイジ隊待機室には、薬品庫があるが、エイジのデスクの横には、薬棚がある。アルフォンスの胃薬は常備されているほか、よく使う薬、いわゆる風邪薬や、頭痛薬といったものが置いてあるのだ。
「風邪薬って、これかな…」
 透明の薬瓶が並んでいた。その中に、茶色い瓶を見つけて、蓋をあけた。

 いつも見る薬と違うような気がする。
「ん?これだったか?」
 でも、以前エイジが茶色い瓶から風邪薬を出していた。
 他に、茶色い瓶がない。
「これだよな?」
 そういって、エドワードは一錠、取り出して、前にももらったゼリー状のオブラードを探す。それは、エイジのデスクに入っていた。
 エイジのデスクはキチンと物がそろえて置いてあり、『准将用オブラード』と書かれてある。薬嫌いのエドワードになんとかして飲ませたいために、エイジが開発したゼリー状のオブラードだ。
「おっ!?なんだよ、オレンジ味もあるじゃん」
 今まで、イチゴ味だったのに。出し惜しみしてたな!?
 にやり、と笑ってエドワードはそのゼリー状オブラードと一緒に薬を飲み込んだ。
 

「ただいま戻りました」
 アルフォンスが帰ってくると、ガネットがおかえりなさい、と声をかけた。
「雨、酷かったですね」
「みんな濡れて、風邪ひかなきゃいいけど」
 アルフォンスがそう答えると、ガネットが苦笑しつつ、
「あの、准将なんですけど」
「え!?まさか風邪!?」
「ええ、昨夜、夜に出動があって、現場指揮してらしたんです。今朝からどうも風邪をひかれたようで、咳と鼻水が酷そうで」
「で、今、准将は?」
「エイジ少佐のお部屋から薬をもらってきて、飲んだようですが、その後からずっと執務室にいらっしゃいます」
「寝てるんじゃない?」
 アルフォンスが苦笑すると、ガネットも「そうかもしれません」と苦笑をこぼした。

 アルフォンスは、さっそく司令官執務室に入ると、案の定兄はデスクに座っていなくて、ソファに丸くなっていた。以前、エネルにもらった羊の抱き枕を枕にしている。
「兄さん?熱があるの?」
 そっと声をかけると、兄の顔は真っ赤で、さらに息も荒い。
「っ…」
「兄さん!?」
 慌てたアルフォンスは、そっと額に触れる。酷く熱く感じた。
「今、何か冷やすものを…!」
 そう思って、あわてるアルフォンスの手をぎゅっとにぎった。
「ァる…」
「大丈夫!?」
 ぎゅっと苦しそうに自分の裾を握りしめてくる。
「苦しいの!?」
 顔をゆがめて痛みに耐えている様だ。
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