中央編E

□中央編128 なんだかんだで…
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「あ、あれっ!?」
「んだよ」
 左腕を持ち上げて、ぐるぐると回すようにした後、腹筋辺りを撫でまわすエイジに、
「ぷはっ!やめろ、くすぐったい!」
 と、エネルが笑いだした。
「なんか、腹筋がしっかりしてる!腕の太さも、ほぼ元通りになってる!」
「知らなかったのかよ!」
「だって…」
 微かに頬を赤らめたエイジに、エネルがにやにやと笑いだした。
「最近、シテねェしな。ソルの夜泣きで」
「っ」
 真っ赤になったエイジに、あはは、と笑いだしたエネルだ。
「別に、いいですけどね」
 ぷい、とそっぽを向いて、エイジは、料理の準備をし、エネルにビールを出してやってから、自分も席についた。
「呑むか」
「あたりまえです」
 と、コップにビールをついでもらって、二人は、お互いを見た。
「…ちょっと、素直に言うと」
「うん?」
「軍服姿、ちょっとだけ、カッコイイって思いました。だから、あんまりモテないで下さいね」
「おまえな〜!それ、反則だろぉがっ!」
「は?」
 頬を微かに赤らめたエネルに、エイジは首をかしげた。
 なにか、おかしなこと言ったかな。といった感じだ。
「オレがモテねェことは、おまえが一番よく知ってるだろーがっ!」
「…僕が選んだ人で、今までモテない人なんていませんけど」
 べ、と舌をだしたエイジに、「このやろ〜」と、額を小突いた。
「ったく」
 こういうとこ、カワイイとかって思ってしまう自分に、“弱い”なぁと思う、エネル。

 そこで、ふえェ…と泣き声が聞こえて、エイジが慌てて立った。
「オレが行くから、おまえ、食ってろ」
「いいですよ。貴方のほうが疲れてるでしょうから」
「今日、一回もソルを抱っこしてねェし」
 そういわれて、さきにソルの眠っているベッドに行かれてしまい、エイジは苦笑した。ミルクだろうから、お湯を沸かして、残りの食事を口に運ぶ。
ああいう言い方されたら、引くしかない。そこも、計算済みなのか、いや、計算じゃないからこそ、彼は密かにモテる。
 だって、自分だってそういうとこにキュンとしちゃうから。

「…なんで、顔赤いんだ、おまえ」
 ソルを抱っこして、もどってきたエネルにそう言われて、
「び、ビールの所為ですっ!」
 と、それを誤魔化した。
「おむつかえてみたけど、ソル泣きやまないんだ」
「ミルクだと思います。もうすこし、まっててください」
「だってよ、ソル。もうちょっと我慢な」
 そういって、愛おしそうに抱きあげたまま笑みを浮かべる。
 だが、ソル自身は、「ミルクちょうだぁあああい!!おなかすいたぁああああ」と叫んでいる。
 そんな泣き声すら、カワイイと思っているのだろう。

「ミルクいーっぱいのんで、夜はぐっすり寝るんだぞ。父ちゃんたち、ラブラブだかんな」
「だっ…だれがですかっ!!」
にやり、と笑ったエネルに、エイジは真っ赤なまま、叫ぶと、ソルがきょとん、と目を丸くして、一瞬だけ、泣きやんだのだった。

「ったく…。ソル、僕が見るんで、とりあえず、Tシャツ着てください」
「え、すぐ脱ぐのに?」
「もうっ!まだあとでしょ!」
「あ、やっぱスルにはスルんだ」
「っ!明日の仕事に支障ない程度にね」
「かえって、オレは順調だけどな、うん」
 そんな二人に、きっとソルが話せるようになったら、言うだろう。
『なんだかんだで、おとーちゃんたち、なかよちねっ』って。



リクエスト:柚羽様
エネエイで仲の良い二人。


…七夕関係なく、そして短くてスミマセン^_^;
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