中央編E

□中央編 あれ、なんだか少将…
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「そんなにひくかねェわ!つーか、低いとかゆーな!!」
「軍靴を厚底に錬成しとけば、わかりませんよ。あいかわらず、綺麗な顔してますし」
「アンダーソン中佐!その発言に、なんか危険な香りが!!」
「ああ、いたんですよね、秘書官」
 にこり、とアンダーソン弟が笑った。
「最近、アンダーソン中佐、僕に冷たくないですか!?東方にいたころはもっと優しかったですっ…!」
「直属の上司に媚を売るのは、当然でしょう」
「そんなふうに思ってたんですか!」
 ふ、と笑ったアンダーソン弟とアルフォンスの間に入った、エドワードが、
「まあまあ、ふたりとも。冷静に」
 そういう、少しだけ幼いエドワードに言われて、二人も、どう返答したらいいかわからない。見た目だけではないが、この人には言われたくない、と思っているに違いない。

「少将は、なんとも思ってないんですか?若返るなんて」
 ユンの言葉に、エドワードは、にっと笑って、
「オレ、天才だな〜くらいにしか思ってねェよん」
 と、軽く言って、書類をもったまま執務室へと入っていった。そんな顔に、アルフォンスは、ぎゅっと拳を握る。
「あの若さのころに、大変、体に負担をかけてきました。だから、兄は、身長が伸びなかったんです。今から、やりなおしたら、もう少し身長は伸びていたのかも」
「エルリック大佐は、少将がもっと背が高ければよかった、とお思いなんですか?」
 アンダーソン弟の言葉に、
「いえ、全然。あれくらいで丁度いいです」
「私も、そう思います」
 そう、視線を交わした二人に、アンダーソン兄とユンは、はは、と笑った。
「身長なんて、関係ないほど、少将はあのままがいいんですよね。苦労もさせられるんですけど」
 ユンの言葉に、アンダーソン兄弟は、苦笑し、アルフォンスは、
「ったりまえです!すべてを含めて、かれはエドワード・エルリックなんですから!」
「…熱弁けっこうですが、大総統府、ヒマなんですか」
「ちがいますよー!!ユン少尉から、緊急事態という伝言が入ったので、早退しただけです!ついでに、演習も見学していきます」
「それはそれは。士官たちの士気も上がります」
 
 と、話している途中――
「うぎゃーっ!」
 隣の司令官執務室から、叫び声が聞こえたので、一同が慌てて、入室する。
「なんか、縮んだ!!」
 執務室の椅子に、ちょこん、と座っている五歳くらいの子どもに、一同は唖然とした顔をむけた。
「…にい、さん…?」
「ええ!?少将ですか!?」
「なんか、進行しちまった!やべェ、オレの中では、時間がきたら、戻るはずだったのに!ちょお、オレの構築式、なんか違ってたか!?アル、見てくれ」
 わたされた、数式の羅列に、アンダーソンやユンはよく理解できないようだが、アルフォンスは目でそれを追う。
「…だったら、ここを、こうかえたら、元に戻るんじゃないかな」
「いや、ダメだ。ここで、こうなって…」
 と、エルリック兄弟での話しあいが続き、三人は、どうしよう、という空気が流れた。
 刻々と演習の時間が近づいている。

「――あ。そうか」
 何かを思いついたエドワードは、急にペンを走らせ、一気に構築式らしきものを描きあげた。
 軍服が大きくて、鬱陶しかったようで、ジャケットを脱ぎ捨て、シャツ一枚になるが、それも大きくて動きづらいようで、シャツのボタンを外す。
「できたっ!」
ボトムは、座っているので、どうにかついているだけだったが、立ちあがった時、ずる、とすべて落ちてしまった。
「わ、兄さん!」
 慌てたのは、アルフォンス一人だ。
「うっし!見てろ!?」
 そういうと、エドワードは、立ったまま両手をたたいた。

 そして――
 錬成光がひかり終わった後、一同が見たものは、シャツ一枚を羽織った状態で、立っている本来のエドワードの姿だった。
「「「おお…!」」」
 その五歳から大人になる姿を一瞬で見た、三人は感嘆の声をあげたが、アルフォンスは、真っ青になって、
「ちょ、ちょちょちょちょっとぉおおお!ェロい!ェろいから、その姿!!!」
 と、慌てて、ずり落ちていたボトムを拾いあげ、シャツのボタンをキチンとはめていたのだった。
「演習の見学、お願いできそうですね」
 アンダーソン兄の言葉。
「ええ――さすがに、子どもの姿では無理でしょうけど、今の姿なら」
 アンダーソン弟の言葉。
「あれ?子どもの前の、一段階とそんなに変わんないですよね。――身長」
 ユンの言葉に、
「誰が、十年前とかわんねーくらいちっさいだぁああああああ!!」

 と、叫んだエドワードだった。

「ううん、第一段階の時は、十三年前だよ☆」
「こまかっ」


ちゃんちゃん♪
いやぁ〜絵を描いた時点で、「足短い」と思っただけなんです…(:_;)
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