未来軍部11

□なあ、アル。
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 二人が中央司令部を出て、車に乗り込もうとし、アルフォンスが扉を開こうとした瞬間、カチ、と何かが発動したような気がした。
「!」
 咄嗟に、アルフォンスは背後にいたエドワードを突き飛ばし、錬成しようとした瞬間、
ダァアン!という激しい音と爆風がエドワードをつつむ。
「アル!アル!!」
 ごう、と熱風が辺りをつつむ中、中央司令部の仕官たちが集まってきた。燃え盛る車の消火に奔走していたが、エドワードはとっさにアルフォンスを探す。

 倒れこんでいるアルフォンスをみつけ、エドワードは引きずるように弟の体を、安全な場所まで運び出した。
「アル!アルフォンス!!」
 だが、アルフォンスの意識はなかった。


「どうだ、容態は」
 すぐに駆けつけたロイ・マスタングに、エドワードは視線すらうつさず、ただひたすらアルフォンスを見つめている。
 ロイが、アルフォンスを覗き込むと、彼の顔、左目に包帯が巻かれている。
「…左目が、酷いそうだ」
「……」
「もしかして、失明するかもしれない」
 重い沈黙が降りてきた。
「…捜査、してくれてるんだろうな」
「すでに、実行犯は捕まった」
「指示していたヤツは」
「…まだそれは」
「ムツカシイことねーだろ。ボイル少将。あいつは、すこし前にアルを発砲している」
「…」
「なんで、あんたはアノ女に肩入れしている?しかも次期中央司令部司令官だと!?」
「…借りがあってな」
「はっ。あんたのそーゆートコ大キライだ。女だからって」
「女は後々怖いぞ」
「それが、今だって言ってんだよ。あの国家錬金術師嫌いめ…。これで、アンタが不問にしたら、オレらは砂漠を越えて、違う国へ逃走してやるからな」
 そんな中、病室の扉が開かれた。息を切らして、エイジが到着したのだ。
「中佐は!?」
「今、医療錬金術師の治療を受けたところだ。だけど…目は、失明の可能性があると言われた」
 エイジは、きり、と顔を引き締めた。
「僕が、診ます」
 エイジが、そういうとエドワードは大人しく自分の場所を明け渡した。
「角膜、必要ならオレのをやってくれ」
「そんな技術はまだ…!」
「第一号でもいいじゃないか!オレの眼球全てをやってもいい!皮膚の移植だって、なんでも、なんでもくれてやる…!!」
 ダン!と壁を拳に叩きつけたとき、ふ、とアルフォンスの右目が開いた。
「…そんなこと、言わないで…兄、さん…」
 弱弱しい声に、エドワードは、はっとして再びベッドに近づいた。
「アル!」
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