未来軍部11

□この想いに名前をつけるなら
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 この想いに名前をつけるなら、僕はなんとつけるのだろう。
 愛や恋なんて、そんな名前じゃない。
 ドキドキするわけじゃないし、どちらかといえば、あきれてしまうことのほうが多い。
 なんでも適当で、だけど細かすぎることもあって。
 勘が鋭くて、だけど自分が想われる気持ちには疎くて。
突っ走ってるようで、急にその歩みを緩めてみたり。
 タイミングよく笑ってみたり、タイミング悪く怒ってみたり。
「…そう思うと、ほんとにヘンな人だ…」
 それなのに。
「エイジ〜おちゃ〜。おまえの淹れたヤツがいい…」
 僕にまで、甘えた声で。
「はいはい」
 それでも、あきれつつも言うことを聞いてしまう。
 どうしてかって。
 たぶん。
「僕も、惚れてるんでしょうかね」
「ああ?何か言ったかぁ?」
「いえ」

 この想いは、よくわからないけど。

 いつまで、貴方についていくのでしょうか。
…おそらく、
貴方が僕をどんな立場でも必要としてくれているから、貴方についていくのでしょう。
貴方が僕をイラナイと言った瞬間、僕は違う道を歩む。
その時、寂しいのか、辛いのか、それとも貴方からの愛情のこもった餞なのか。
それは、わからないけど。
「エイジ〜」
「はい、今度はなんですか?」
「おまえの腕を見たいという病院があるんだ。ちょっと行ってきてくれねぇ?」
「出張ですか」
「うん。出張手当はあんまりアテにできねーけど」
「准将のポケットマネーでお願いします」
「バーで奢ってやるよ」
「中佐付きでお願いします」
「やらねーぞ」
 むす、と口を尖らせた上官に、思わず笑ってしまった。
「わかってますよ」

r.e
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