未来軍部11

□お薬飲めたね☆
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「どうして!理由を言って!」
「いえるか、バカ!とにかく、一人にしろ!!」
「兄さん!ショックなのは、分かるけど!でも、一人で解決できる問題じゃない!!」
「エイジがいるだろ!おまえじゃなくても、エイジがいる!おまえは、仕事してろ!」
 その言葉に、アルフォンスの胸に、鋭く槍が刺さる。
「…僕は、必要ないって、こと…?」
「っ…そんなこと、いってねーだろ」
 自分の為に医者の免許を取ったアルフォンス。それは、分かっているが、今はここにはいて欲しくない。
 その理由は――言えない。
だって、アルフォンスが否定することは、分かっているから。
 エドワードはキッと顔を上げて、
「この部屋はエイジ以外の入室を禁じる!出て行け!!」
 そこまで言われて、アルフォンスは留まろうとはしなかった。そのまま、執務室をふらふらとした足取りで、出て行った。

「……」
 静まり返った執務室。
 しばらくして、エドワードは体を起こして、マジマジと自分の胸を眺める。
「…なんで」
 それほど大きくはないのだが、明らかに以前とは違う。ためしに触ってみたら、思ったより柔らかくて、真っ赤になってしまった。
「ッ!」
 恥ずかしい!なんだ、これ!!
 不思議な物体に、エドワードは真っ赤なまま俯いた。
「どうしよう…」
 寝て起きたら、夢でした〜なんていうオチは考えられないようだ。
 この触る感触に、触られる感触。
「ありえねぇ…」
 エドワードは、再びソファに倒れこんだ。


 一時間ほどして、ノックが聞こえて、エイジが入室してきた。
「体調はどうですか?何か変化は?」
 エイジは、いつもと変わらない対応をしてくれて、それが嬉しくて思わずほろ、と涙が出そうになる。
「どうしたんですか?どこか痛いんですか?」
 違う、と首を振る。
「オレ…一生このままかな…」
「大丈夫ですよ。おそらく、一時的なものです。まだ未完成品だったようですし。詳しい内容は調べてる途中ですが…。中佐、酷く心配されてましたよ。顔なんて、真っ青で」
 それをきくと、エドワードはぎゅっと唇を噛んだ。
「アルには会わない」
「どうしてですか?どんなことにも、二人で解決してきたんでしょう?」
「ダメダ…このままだったら怖いし、元に戻っても怖い」
「どういうことですか?」
「……とにかく、アルには会わない」
 そう視線をおとしたエドワードに、エイジは溜息をついて、
「聴診器、あてますよ」
 エイジは、女性に行うときのように、シャツを全部捲り上げたり、ボタンを外すことなく、手を裾から入れて、そっと聴診器を当てる。
「…風邪の症状はありそうですけど、どういう反応があるか分からないので、薬は止めておきます。熱も高くないようですしね。何か、異常はありますか?」
「ない」
 と言ったとき、「うーっす」といつもの調子で入室してきたのは、エネルだった。
「!?」
 エドワードは言葉を詰まらせた状態で、エネルを見る。
「エネル大尉ッ!今日、ここは入室禁止ですよ!?」
「へ?だって、エイジいるじゃん」
「僕はいいんです!」
 エネルは、ふとエドワードに視線を落とした。
 そして、目をぱちくりさせている。
「…なんか、胸が膨らんで――」
 と言った瞬間、それぞれの中央に、ぷっくりと浮かび上がった――
「ええええ!?おま、おまえ!?胸ッ!?でかくなってるゥ〜!?しかもシャツ、透けてる!!」
 そういわれて、隠したのは、エイジだ。
「は、はやく出て行ってください!!」
 なんで出て行くのか、いや、どうしてエドワードの胸が膨らんでいるのか。頭が混乱していたが、エイジの命令に自然と足が廊下のほうへ向いていた。

 なんだか、よくわからないが、心臓がバクバクして、エネルは、ほ〜っと息を履く。
「もしかして、入室したんですか…」
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