未来軍部11
□四月から未来軍部は過去軍部になります!
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司令官は平安美人!
万愚節
北に山あって玄武棲み
東の川に青龍棲む
西に大道あって
白虎が棲み、
南に大池あって
朱雀すむ
そして――
「兄上」
「アルか」
御簾のむこうで、金が揺らめいた。
「は。報告がございます。ロイ様の行く道をふさいでいた、厭物、排除完了いたしました」
「うむ。呪詛はどうせ、堀川左大臣あたりであろう?」
「そうです」
くく、と御簾の向こうの金が笑う。
「御簾を開けろ」
側近にそう短く命じる。
「マーカー、出てこい」
御簾が上げられると、アルの横に、一瞬にして黒づくめの男が現れた。
「なんの御用でしょうか、小豆姫・エド様」
ぷちん。
小さく何かが切れる音がした。
「だああれが、小豆のように小さいだー!!」
男は、くく、と小さく笑い、同じようにアルも笑いだした。
「アル!テメー、いい加減にしろよ!」
「いえ、そのお姿も素敵です、兄上」
にこり、と数多の女官を虜にした、アルの笑みに、同じように弱いエドは、真っ赤できらびやかな衣装、十二単で、いきり立っている。
「うっせー!マーカー!堀川左大臣のトコに忍び込め。オレが呪詛返ししておいたから、どんな結果か報告しろ!」
「は」
す、とマーカーが消え去ると、現れたのは、
「エド様!いい加減に、してくださいね!」
現れたのは、
「げっ!エイジっ!」
手に、何かを持っている。薬をするための鉢のようだ。
「薬師の貴方がいらっしゃるということは、一体、何かあったのですね!?」
アルとエイジにすごまれて、エドは後ずさりをする。
「先ほど、公達のエネルと屋敷を抜け出た際、足を怪我され、薬をぬろうとしたのですが、逃げられ…」
「あにうえ」
先ほどの笑顔に、黒さが加わり、エドは思わず御簾を下した。
「ぎゃあー!エネルっ!てめーいるんだろ!?出てこい!」
庭へ通じる障子を、勢いよく開く。
「んだよ」